自転車が危ない!! 車と自転車 双方から見た危険と行政への注文

自転車が危ない!! 車と自転車 双方から見た危険と行政への注文

クルマに乗ると「自転車って危ないな」と思うけれど、いざ自転車に乗ると「安全に走ろうと思っても走れない」現実がある。タイトルの『自転車が危ない!!』には、文字どおりの意味だけでなく、『自転車ユーザーたちも危険に晒されている』という意味を込めた。

クルマも自転車も愛着がわく“乗り物”。自身もロードバイクを所有するモータージャーナリストの鈴木ケンイチ氏が、双方の立場から安全を考える。

文:鈴木ケンイチ/写真:編集部、shutterstock.com



『乗り物の楽しさ』根っこは自転車もクルマも同じ


この春から、都内の道路の路側に白やら青の矢印が描かれているのはご存知ですか? あれって、自転車用の走行する場所を示しており、警視庁が進める「ナビライン」というもの。なんでもさ来年の春までに1000kmも線を引くとか。

この動きは東京だけでなく、全国各地に広がっているようです。まあ、最近は、自転車人気も定着してきたようで、それに伴い、自転車に乗る人も増えており、自転車事故の対策もまじめに取り組まなきゃならないってことの表れなんでしょうね。


最近目立つようになった自転車ナビライン。行政も自転車の安全対策には躍起だが……

といいつつ、流行りものに弱い小生も、実のところ、最近、自転車に乗るようになりました。春を思わせる空色のロードバイクです。自転車にマジで乗るのなんて、高校生以来。まさに30年以上ぶりです。

で、乗ってみると、これが楽しい! 予想以上に速いんですよ。ちょっと頑張れば、時速40㎞も出ちゃう。原付バイクなみです。若いころはリッターバイクを乗り回し、中年になったらクルマでサーキットを走り回ったオジサンでも、生身の自転車の時速40kmは、また別の面白みがある。スピードが好きな人ならハマこと間違いなし。

自分の手でメンテナンスやカスタマイズできるのも、ロードバイクの楽しみのひとつでしょう。しかも、健康にいい。走った後のビールや飯が最高! これは流行るのもわかります。

『駐車車両に為す術なし』自転車目線でみる“車”の怖さ


しかし、実際にロードバイクで走り出すと、「ありゃりゃ、こりゃあイカン!」と気づくことが多々ありました。ちょっとあげつらってみましょう。

まず、自転車目線でいうクルマ側へのリクエストです。第一に「自転車レーンがあるところに駐車すんな!」と。そのたびに道路の中央側に大きく迂回しなくちゃならないから、危なくって仕方ない。


自転車ナビラインがあっても、駐車車両があれば自転車の『居場所』はなくなる。翻ってそれはクルマにとっても危険な状況となり得る

次に、「左折するときはウインカーを出せ」と。巻き込みになるだろと。街道沿いのガソリンスタンドやコンビニに、急角度で入っていくのも同じくNGです。

そして「クルマが右折するときは、直進の自転車を優先しろ」と。右折VS直進の事故は、自転車だけでなくオートバイともある、やばい事故の最右翼。気をつけてください。あと、夜間のハイビーム直射もかんべん。かなりまぶしいです。

次ページ:クルマ側からの自転車への提言。でも根本は行政にあり?



『逆走、信号無視……』車からみた“自転車”の怖さ


いっぽう、自転車側にも苦言があります。最も数が多くて、危険も大きいのは「逆走」。車道と歩道がごちゃ混ぜになっていて、いちいち道路の反対側に行くのが面倒なのはわかります。

だけど、逆走はまずい。正面衝突になるとほんとに死ぬことになりますよ。跳ねられる自転車側も嫌だろうけど、クルマ側だって事故は勘弁してほしい。本当にやめてほしい行為です。


都内の歩道。そもそも自転車は車道走行が“原則”と言いつつ、“実際”には、歩道通行可の場所もあり、非常に曖昧なのが現状。自転車、クルマ双方にとって望ましい状況とはいえない

そして次に多いのが無灯火。テール側に赤い反射板のない自転車も意外と多いですね。夕方とかに無灯火&テール反射板なしの自転車は、クルマのギリギリ近くになるまで、その存在に気づかなかったりします。クルマ側から見ると、自転車が突然に現れたように見えて、本当にびっくり。

最後に自転車に守ってほしいのが信号。「赤信号は守れよ! 子どもだって守ってるゾ」と。

こうやって、クルマ&自転車のダメなところを並べてみれば、なんてことはなくて、普通の守るべき交通ルールばかり。「いい年したオトナなんだから、ルールくらい守れよ!」と思うばかりです。

自転車でクルマに跳ねられると、ものすごい衝撃なんだから。小生は、小学校のころに自転車でクルマに跳ねられた経験あります。また、オートバイでクルマにぶつかったことも。そうそう、クルマでクルマに追突されたことも。

もう、全部、二度と経験したくないほどの痛さでした。みなさん、痛い目に逢いたくなければ、当たり前の交通ルールを守りましょう。

立ち後れる日本の行政 自転車専用レーンの設置を!


おっとひとつ言い忘れてました。自転車に乗って気づいた、最後のダメなもの。それは道路です。道の作りというか、道路行政そのものが悪いんでしょうね。

クルマ優先で、自転車に対しては場当たり的。自転車は、乗り物なんだから走るのは車道と決めて、その代わりにしっかりと自転車が走りやすい環境を作ればいいと思います。

モーターショー取材に行ったことのある、パリでもフランクフルトでも上海でも北京でも、み~んな自転車用の専用走行レーンがありました。クルマが入ってこられないように区切られた、ちゃんとした専用レーンです。


海外では自転車がきっちりクルマと分離されているケースが多い。自転車もクルマも安全に走行するには、こうしたインフラ整備が不可欠

東京も世界有数の大都市! と威張りたいなら、自転車専用レーンくらい用意しましょうよ。「歩道も自転車OK」とか「ナビライン」なんかで、ごまかさないで、ちゃんと自転車用のスペースを区切って確保してほしい。事故を減らすために、クルマと自転車が努力するように、行政も努力してくださいよ。