約50年前、首都高はまだ建設中で、日本橋から空をのぞむことができた。それから50余年経った2017年7月21日、国土交通省と東京都が「日本橋上空に架かる首都高の地下化を検討する」と発表。
かつて、何度も頓挫した日本橋周辺の首都高地下化は、本当にこれで実現に向かうのか? 計画倒れなんてことはない?
文:ベストカーWEB編集部/写真:首都高速道路、shutterstock.com
何度も湧いては消えた日本橋周辺の首都高地下化案
「まずは最初の一歩という感じですね」
首都高関係者は筆者にこう語った。「最初の一歩」と言うのにはワケがある。日本橋の直上にかかる首都高都心環状線は、これまで何度も地下化の提案がなされてきたからだ。国交省道路局経済調査室にこれまでの経緯を聞いた。
「2001年には扇千景国交相(当時)が、首都高の高架に覆われた日本橋の景観を一新すると発言されました。2006年には小泉純一郎元首相の指示で『日本橋川に空を取り戻す会』も結成されています。そして、2012年には“提言書”が出されています」
“提言書”とは、2012年9月に発表された『首都高速の再生に関する有識者会議』の提言書のこと。同書では「都心環状線の高架橋を撤去し、地下化を含めた再生を目指すべき」と、日本橋周辺に架かる首都高の地下化に言及している。
ちなみに、こうした類の提言書の案は、必ず反映されるとは限らない。実際、首都高は「今ある高架部分は大規模更新・修繕をおこなうことで対応する」ことを基本方針としている。
では、なぜ日本橋の上に架かる首都高の地下化が具体化したのか? 前出の道路局担当者は、その理由を次のように明かしてくれた。
「(日本橋直上の首都高地下化については)地元の方も熱心に活動をされていて、2017年6月には参議院に署名が提出されたという経緯があります」
実は参院への署名提出に先立って、2015年9月に『首都高の撤去または移設を求める署名』が衆院に提出されている。こうした熱心な働きかけもあり、7月14日には、ついに地元自治体の中央区が、国と東京都に対して首都高の地下化を申し入れ。そして、今回の発表に漕ぎ着けたのだ。
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