■焦点3 日産は不正問題からの回復なるか?
日産は完成検査の不正が発覚し、それに対処するため、昨年10月下旬に一時出荷停止を行いました。
見とおしがつき11月から再開したものの、いまだにその後遺症に悩まされています。これによる受注済車のキャンセルは10%程度発生したといいます。
昨年12月下旬現在でも、成約車の納期は遅れ、これが新車販売台数の大幅なマイナスにつながっています。主力モデルであるノート、セレナ、エクストレイルだと2カ月、リーフは3カ月待ちと、出荷停止前より、約1カ月前後の遅れとなっています。
今後、徐々に生産販売体制が正常化すれば、回復方向に向かうのは間違いありませんが、完全に軌道に乗るのは2018年度がスタートする4月以降になりそうです。したがって、今年は昨年に対して10%程度のマイナス成長になる見とおしです。
期待のニューモデルは新型リーフのフル販売と秋までに追加モデルの設定、3月にセレナe-POWERの発売、今年中盤にジュークのフルモデルチェンジが予想されます。いずれも量販モデルですから、これらがどこまで全体を牽引できるかで、マイナス幅が左右されると思われます。(遠藤)
■焦点4 ホンダはN-BOXだのみの1年になる?
昨年11月にN-BOXNは2万992台届け出され、1車種でホンダの国内販売総数の35%に達した。この売れゆきは時間が経過すれば落ち着くが、軽自動車中心の売り方に変わりはない。
昨年1~11月はホンダの国内販売総数の47%を軽自動車が占め、今年も同等の比率と台数を保つ。
N-BOXが売れゆきを伸ばすのに、軽自動車全体の比率が増えないのは、他車が減るからだ。N-BOXでは先進安全装備のホンダセンシングが人気の柱だが、この機能は設計を抜本的に改めないと装着できない。
N-WGNには2019年以降のフルモデルチェンジまでこの最新機能が備わらない。
従って売れゆきが下がり(昨年11月の対前年比は33%の減少)、ホンダの軽自動車は実質N-BOXのみになる。だから軽自動車比率はあまり増えない。
そのいっぽうで小型/普通車が増える見込みも乏しい。ステップワゴンは改良とハイブリッドの追加で登録台数が昨年の1.5倍になったが、フリードとヴェゼルは減っている。
今年登場するCR-Vはサイズも大きいのであまり売れゆきは期待できない。そのために今年のホンダの国内販売は、軽自動車比率を含めて昨年と同程度だ。(渡辺)
■焦点5 三菱はエクリプスクロスでブランドイメージの回復を狙う
三菱の昨年1~11月の月販平均販売台数は7770台だ。大雑把にいえば三菱全体でヴィッツやアルト1車種ぶんに相当する。
販売網は約620店舗だから、1店舗当たりの月販平均は約13台。この内の61%を安価な軽自動車が占めるから、国内販売会社の立場は辛い。
三菱の世界生産台数に占める国内比率は約8%だ。アジアで支持が高くタイ生産も活発だから、メーカーは海外に活路を見いだせるが日本国内は厳しい。
三菱直営の販売会社は存続しても、地場資本は違う。同じ資本が輸入車の販売店なども経営するから選択と集中を進める。店舗が閉鎖されれば、三菱車のユーザーが不便を強いられてしまう。
そこで注目されるのが今年3月に発売されるエクリプスクロスだ。三菱はSUVが得意で、流行のカテゴリーだから期待される。成功するには、2016年に発覚した燃費不正問題をもう少しわかりやすく解説する必要がある。
ホームページに読みやすい解説が掲載されるが、国交省に向けた報告内容をもう少し平易にして載せるといい。今年はデリカD:5が大幅改良し、2019年には次期eKシリーズも発売される。今後の三菱に期待したい。(渡辺)
コメント
コメントの使い方