SUV人気もRAV4、CR-V復活の追い風に
国内と海外を含めたSUVの世界的な流行も、この流れを加速させた。日本車では2012年に発売されたマツダ 初代CX-5が息の長いヒット作になり、2代目の現行型も堅調に売れている。2016年末に発売されたトヨタ C-HRも人気車になった。
このほかトヨタ ハリアー、日産 エクストレイル、ホンダ ヴェゼルなどが、発売から4年以上を経過しながら、売れ行きをあまり落とさず定番の基幹車種に成長している。これらの販売動向にも刺激を受け、CR-V、さらにRAV4も復活することになった。
もともと初代RAV4は1994年、初代CR-Vは1995年に、比較的コンパクトなボディで発売され、日本国内で高い人気を得た。今に通じる乗用車派生型SUVの先駆者は、この2車種であった。
ところが両車ともフルモデルチェンジを行う度に海外指向を強め、ボディを拡大させ、デザインや機能が日本のユーザーから離れていった。
それなのに、前述のSUV人気、日本における低価格化の進行、車のツール化に基づく乗り替え周期の長期化などにより、国内で販売を再開することになったわけだ。
復活車は“日本向け”ではない?
「復活車種」を総じていえば、日本のユーザーをずいぶん軽く見たものだと思う。シビック、カローラハッチバック(源流はカローラFX)、RAV4、CR-Vなど、日本のユーザーが愛用した車を日本のユーザーから取り上げておきながら、国内市場が先細りになった今ごろになって「買ってください」と言ってきた。
しかも、日本向けに改めて開発された商品ではない。海外向けを日本の法規に適合させ、国内でも販売可能な車に仕立てただけだ。
もはや、国内市場に向けたメーカーの長期的な販売戦略などは、存在しないのだろう。その場限りの判断で動いているだけだ。
「売れ筋車種が軽自動車とコンパクトカーばかりでは儲からない」
「ならば価格が少し高いシビックを復活させよう」
「最近は輸入車を含めてSUVが好調に売られ、価格も高いから儲かっているらしい」
「ならばRAV4を、あるいはCR-Vを復活させよう」
という具合だ。
しかし、日本のユーザーと市場は甘くない。場当たり的に復活させた車が、調子よく売れることなど絶対にあり得ない。
ホンダの商品企画担当者は「シビックが意外に売れている。しかも1.5Lターボの6速MTが好調だ」という。
登録台数は1年で最も多く車が売られる2017年3月が2246台。販売計画の2000台を辛くもクリアできた程度だ。ほかの月はさらに下がる。
それでも見方によっては予想以上の健闘と受け取られるが、仮にそのように判断するなら、ホンダは現行シビックの購入者に心から感謝せねばならない。
日本のことなど何も考えていない、日本を見捨てたシビックを、優しく迎い入れてくれたからだ。業種や商品を問わず、メーカーがユーザーに甘えてはならない。
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