これが…ホンダの…新BEV戦略…?? ラスベガスCES2024で世界に語ったホンダの行く道と「鍵」を握る5つの要点

■ホンダの独自路線のBEV戦略が公開

 ソニーホンダの発表の翌日には、ホンダのグローバルなEV戦略が発表された。プレゼンテーターは前日に続いて三部社長、商品を説明したのは青山真二副社長。二人とも筋金入りの原理主義者だと筆者はみている。ということで、2024年CESではホンダの三部社長がもっとも忙しいCEOだったのではないだろうか。

今回ホンダは2台のコンセプトカーを出展。そのうちの一台「SPACE-HUB」(スペースハブ)の前でスピーチする、ホンダの三部社長
今回ホンダは2台のコンセプトカーを出展。そのうちの一台「SPACE-HUB」(スペースハブ)の前でスピーチする、ホンダの三部社長

 ホンダは昨年末に、かねてより進めてきたGMとのBEVの共同開発プロジェクトの中止を発表した。詳しい理由は省くが、筆者の見立てではバッテリーに対するホンダとGMの考えの違いがあったのかもしれない。

 すでにトヨタは次世代バッテリーのロードマップを明確に公表しているので、ホンダとしてもバッテリーの戦略を見直すにはラストチャンスだと気がついたのではないだろうか(筆者の予測)。もともとホンダはラージ系BEVを独自開発する計画だったので、CESではその二台のプロトタイプを公開した。

 現地時間で午前10時半にアンベールされたが、事前に見た範囲では、黒い布でベールされたモデルはどうみても大きい。一台は「SALOON」(サルーン)であるが、シルエットから察すると、ノーズは低く、ワイドボディだと想像できた。まるでランボルギーニ・アベンタドールのようなシルエットなのだ。

 もう一台の「SPACE-HUB」(スペースハブ)はフルサイズのミニバンのように見える。

■映画の世界から飛び出てきたようなスタイルに驚く

 アンベールした瞬間に、会場からは歓喜のようにも聞こえる声が響いた。

「SALOON」のスタイルは3ボックスのフォルムではなく、まるで一筆書きで書いたようなフォルムだった。リヤモーターリヤ駆動なので、エンジンフードを低くでき、床下には薄く設計されたバッテリーが格納される。SUVよりも車高が低く、低重心なのでNSXよりも重心点は低そうだ。チーフデザイナーの南俊叙氏は、跳ね上げ式のドアの構造は量産では変更するものの全体のイメージは「このままです」と言い切る。

新たに発表されたコンセプトカー「SALOON」(サルーン)。え…「このまま出る」って…マジで??
新たに発表されたコンセプトカー「SALOON」(サルーン)。え…「このまま出る」って…マジで??

 他方、「SPACE-HUB」はさすがにデザインスタディなので、量産車はスタイルの変更があるものの、基本的なデザインのエッセンスは踏襲したいと述べている。せっかくの新規プラットフォームなので、大胆に「H」マークもデザインを変更した。

新しい「H」マークと「SPACE-HUB」(スペースハブ)。ミニバンだ…アメリカなのに……
新しい「H」マークと「SPACE-HUB」(スペースハブ)。ミニバンだ…アメリカなのに……

 筆者の印象ではウェッジシェイプが強いスポーツをイメージする「SALOON」はエクステリアデザインからはホンダのオーセンティックな空気を感じられないが、インテリアは本田宗一郎さんが守ってきたMM思想は踏襲されている。
バッテリーは「薄くて軽い」(Thin, Light)に設計し、クルマとしてはWISE(賢い)な製品を目指している。

■ホンダはどのように生まれ変わるのか

 三部新社長のプレゼンテーションでは「HONDA 0」(ホンダゼロシリーズ)というコンセプトがわかりやすかった。

新たに発表されたホンダの商品戦略イメージ。「0」にさまざまな意味を込めた
新たに発表されたホンダの商品戦略イメージ。「0」にさまざまな意味を込めた

 従来の常識にとらわれずに、ゼロから物事を考えることで、新しい価値を作りだし、さらに環境負荷ゼロ、交通事故死ゼロをコアコンセプトとしている。BEV開発責任者の假屋満氏は「新しい発想でクルマの開発をゼロから始めることは、大きなチャンス」と考えている。具体的には次のような5つの価値を提供するだろう。

〇共感できるデザイン
〇安心できるAD・ADAS
〇使いやすいIoT・コネクテッド
〇操る喜びと快適なドライブフィール
〇高い電費性能(長い航続距離)

 今回取材で分かったことは、ADASのようなインテリジェントなドライバーをアシストするADASとデジタルコクピットから提供されるユーザー体験に新生ホンダの新価値がありそうだ。

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