横浜ゴムが北海道旭川の「TTCH(タイヤテストセンター北海道)」にてメディア向けに冬用タイヤの試乗会を実施した。横浜ゴムといえばベストカーWebでも特集を組んだ「iceGuard6」が、スタッドレスタイヤとして最高レベルの性能を誇る。しかし今回の目玉は「オールシーズンタイヤ」。
とはいえ、消費者からは「オールシーズンは雪道では使い物にならん」とか「冬の道を走るなんてもってのほか」という意見も非常に多い。いったい実際のところはどうなのだろうか?
ということで編集部員が北海道での試乗会に参加。気になる雪上性能、そして氷上試験路でのオールシーズンタイヤの性能をミッチリ試してきました。
文:ベストカーWeb編集部/写真:横浜ゴム
■オールシーズンタイヤは冬の道を走るべからず!?
そもそもオールシーズンタイヤがどんなものかと言えば、読んで字のごとく「どの季節でも走れるタイヤ」。
このネーミング自体が過剰な「万能感」を醸し出しているのは間違いないが、舗装路のドライ路面、雨天時の湿潤路面、はたまた雪上路面も理論的には走れることになっている。
こうなるとわかりにくいのがオールシーズンタイヤは何に強くて、何が弱点なのかということ。
タイヤメーカーはスタッドレスタイヤという冬に特化した製品があるため、「夏も冬も大丈夫」というオールシーズンタイヤの立ち位置を消費者に伝えることの難しさを感じているようにも思える。
まずは横浜ゴムの資料を基にメリット/デメリットをまとめてみた。
(1)氷上/雪上性能
氷上では当然ながらスタッドレスタイヤのほうが制動距離は短い(※)。雪上性能もスペック的にはスタッドレスタイヤのほうが優れているとされる
※横浜ゴムは深い積雪や氷上ではオールシーズンタイヤでの走行を禁止している
(2)ドライ路面性能
オールシーズンタイヤのほうがハンドリングや耐摩耗性などは優れ、スタッドレスタイヤと比較してウェット性能の高さも大きな武器となる
オールシーズンタイヤがスタッドレスタイヤより優れているのはサマータイヤとしての性能ということは想像に易い。では雪上性能は? 氷上も本当に走れないの? という疑問がフツフツと湧いてくる。
今回の横浜ゴムの試乗会はまさにその疑問を解決するためのものだった。氷盤試験路と雪上路面でオールシーズンタイヤ「BluEarth-4S(ブルーアース・フォーエス)」と、スタッドレスタイヤ「iceGUARD6」の性能を比較できるというのだ。
■オールシーズンタイヤの概念を超えたかも!? 意外な氷上性能に驚愕!!
まずは氷盤試験路での比較をしてみよう。TTCHの氷盤試験路は屋内のスケートリンクのような施設でご覧のとおり「ツルッツル」。
ただスケートリンクよりも表面に水分が多く、人間が4足歩行でも進むのもままならないほどの低ミュー路だ。この上を20km/hで走行し、目印の地点でブレーキング。そこからの制動距離を測るというテストに参加した。
事前にお断りしておきたいが、これはオールシーズンタイヤが氷上を安心して走れることをお伝えするのが目的ではない。それぞれのタイヤの得手不得手をお伝えする項目だ。
まずはスタッドレス「iceGUARD6」装着車から。試乗機会は3回だったので制動距離の平均値を求めることにした。
1回目は思いっきり電子制御が入るまでペダルを踏みつける。2回目は丁寧にグーっと踏み込む、3回目は全体的に強めにブレーキを踏む。
平均の制動距離は約10mといったところ。車体がよれることもなく「ググッ」と制動する。安心感が高く、やはりスタッドレスタイヤの性能の高さを身をもって実感する。
次にオールシーズンタイヤ「BluEarth-4S」。こちらもiceGUARD6同様のパターンでブレーキを踏んでみる。やや氷上での空走を許し、3回の平均は約15m。スタッドレスタイヤと比較して約1.5倍制動距離が伸びたことになる。
当然この5mの差は大きなものでクルマ1台分。急ブレーキを踏まないと間に合わない緊急回避のシーンではもちろんスタッドレスタイヤに分があるのは間違いない。
このようなことも踏まえて、前述のとおり横浜ゴムもオールシーズンタイヤの氷上使用は禁止している。
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