2020年、我々はウィズ・コロナのなかで初の冬を迎えようとしている。コロナ対策にはさまざまなアプローチがあるが、なかでも他人との接触を避けながら移動ができるクルマはこのウィズ・コロナの時代にあって非常に重要なアイテムである。
現代のクルマは非常に性能が向上し、めったなことではトラブルにならないと言われている。しかし、クルマも機械である以上、トラブルがまったく起きないとはいえない。そして、そうしたトラブルを回避するためにもっとも大切なのは、きちんとしたメンテナンスを行うこと、それにぬかりない準備を行うことにほかならない。
特にこれからはクルマにとっては夏とはまた違う部分で苦手な季節となる。それに降雪地域に行く機会もあるだろう。冬だから気をつけたいこと、冬だから準備したいことを重点的に紹介するので、今年のウインタードライブに役立ててもらいたい。
文/諸星陽一
※ベストカー2020年12月10日号より転載
BATTERY
寒い冬は性能が低下するバッテリーをチェック!
寒い冬の朝、エンジンを始動しようとしたらエンジンが掛からないというのは何とも寂しいものだ。セルモーターを回すことなく走り出しが可能なEVやEVモード付きハイブリッド車は、走行用バッテリーが充電されていれば大丈夫と思われがちだが、12Vバッテリーが上がってしまうとシステムが起動しないので、やはり走り出すことはできない。
バッテリーの点検の第一歩はバッテリー液の量。クルマのボディを押して揺らせば、液面も揺れるのでバッテリー液の量がわかりやすい。液面が下がっている場合は、補充液(精製水)を補充する。
バッテリーの劣化チェックは、比重計を使ってバッテリー液の比重を計るのが一般的な検査方法だが、最近はCCA値を計測するバッテリーチェッカーというテスターが信頼性が高いといわれている。密閉型のメンテナンスフリーバッテリーは、このタイプのテスターでないと計測ができない。基本的に弱ったバッテリーを復活させるワザはないと考えたほうがいい。バッテリーは消耗品であるという意識が大切。弱っているようであれば、交換が必要だ。
WIPER
ワイパーチェック&交換で雪に負けない視界を確保
雨の日の視界を確保するのに大切なのがワイパーだ。ワイパーの基本的な構造は、金属か樹脂の骨組みに、ゴムのブレードを取り付けたものとなる。このうち劣化しやすいのはゴム部分。夏の暑さや紫外線の影響はもちろん、ワイパーブレードはかなりの力でガラスに押しつけられていてそれが動くのだからゴム部分が劣化するのは容易に想像できるだろう。
ワイパーは定期的には1年に1回の交換が薦められているが、拭き取り時に拭き残しやムラが出たら交換したほうがいい。金属の骨組みのものはブレード部分のみを交換することができるが、樹脂製は骨組みごと交換する。
一般的にワイパーは、はっ水処理をしたガラス用と、未処理のガラス用の2種があるので、自分のフロントウィンドウの状態に合わせて選びたい。
降雪地帯やスノードライブを予定している人は、骨組み部分がゴムで包まれたスノーブレードを選ぶほうが、よりいっそういい。
WASHER
ウォッシャー液が不足してないか?濃さは適切か?
ウィンドウウォッシャー液は、ワイパーを作動させる際には必須のアイテムだ。「えっ?」と思う人もいるかも知れないが、ワイパーとウィンドウウォッシャー液はセットだと考えてほしい。実際、車検の際もウィンドウウォッシャーが作動しないと合格しないのである。
ルールはともかく、ウィンドウが濡れていない状態でワイパーを作動させると、ワイパーもウィンドウもダメージを受ける。雨の日も、最初はウィンドウウォッシャーを使ったほうが油膜などが落としやすいのだ。
ウィンドウウォッシャーはウォッシャー液のタンクを見て液量を確認したい。さらに冬場は濃度が薄いと凍ってしまうので、濃いめに設定する。噴射してウィンドウに広がった状態で凍ると視界はゼロになる。濃度は気温に左右されるが、ウォッシャー液のパッケージに記載されているものを参考にすればいい。
COOLANT
冷却水(LLC)の量や色をチェックする!
現代のクルマの冷却水はLLC(ロング・ライフ・クーラント)と呼ばれるもので、その名のとおり長い期間使える。一般的なLLCの使用期限は2〜3年なので、車検ごとに交換すればいい。最近のクルマに使われることのあるスーパーLLCだと初回が16万kmもしくは7年、2回目以降が8万kmなので初回は3度目の車検、以後は車検2回に1度の頻度といったところだ。量はリザーバータンクで確認する。少しずつ減るのは問題なしだが、急激に減る、LLCが濁っている、油が浮いているなどの場合は別の不具合があるので即ディーラーや修理工場に持ち込みたい。
LLCが減っていたら同じ色のLLCを補充する。一般的なLLCは緑か赤、スーパーLLCは青かピンクに着色されている。使う地域の最低気温に合わせて希釈して補充するが、スーパーLLCの場合は水道水でなく精製水を使うのが基本だ。
BODY CARE
汚れなどを寄せ付けないボディにする!
冬場は道路凍結を防止するために融雪剤がまかれたりすることも多い。融雪剤は塩化カルシウムが主成分なので、ボディを錆びさせる原因になることもある。それを防止するためにも、冬場はワックスを頻繁にかけるなどのボディケアも大切。コーティングなどでボディケアをしている人も、雪道を走ったあとはボディの水洗いなどをしっかり行うことが大切。どうせまた汚れるから……と放っておくと錆びなどが進行する恐れがあるので注意したい。
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