実際のところETC2.0は必要か? トラックの普及率は約7割なのに 普通車はなんと約2割

■ETC2.0の機能がまだ限定的

ETC 2.0ならば高速道路の途中下車にも対応している。ただし2時間以内に同じ出入り口に戻る必要がある(U4@Adobe Stock)
ETC 2.0ならば高速道路の途中下車にも対応している。ただし2時間以内に同じ出入り口に戻る必要がある(U4@Adobe Stock)

 ETC2.0がこれまでのETCと大きく異なるのは前述したように双方向通信を活用することで、新たなサービスを提供できる点にある。

 まず最初にあるのが「一時退出・再進入」だ。

 これは高速道路において一度高速道路を降りて、再度進入しても料金自体はそのまま利用していた場合と同じという社会実験だ。

 目的としては昨今問題となっている高速道路の休憩施設の不足解消と同時に地方(地場)産業をサポートすることにある。

 具体的にはSAやPAなどの休憩施設同士が約25km以上離れており、ICの2km以内にある道の駅を対象とすることで、メリットが受けられるのだが、実際これをどれだけ使っているのかは肌感覚とはいえ、それほど感じていない。

 例えば、高速道路を降りた先にある道の駅に急速充電設備がSA/PAより多く配置されていたり、優先利用か可能(これ自体は難しい)などのメリットがあれば立ち寄ろうと思うだろうが、わざわざ高速を降りるという行為自体が面倒臭い。

 またこの料金システムを活用するにはETC2.0車載器&ETCカードはもちろん、対象となるICまたはスマートICから退出後、2時間以内に同一ICから再進入しなければならない。ルールとしては正しいのだが、昨今の道の駅は買い物だけではなく、食事スペースなども充実している場所があり、2時間という制約は人によっては短いと感じるケースもある。

■1000km先の渋滞、本当に必要なのか?

ETC2.0は、進行方向の道路情報の提供距離が1000kmまで拡大している
ETC2.0は、進行方向の道路情報の提供距離が1000kmまで拡大している

 何度もくどい話で恐縮だがETC2.0のメリットは大容量かつ高速でデータをやりとりできる点にある。

 これまで高速道路などでの渋滞情報と言えば、VICSの電波ビーコンが主流だった。ただこのシステムは前方200kmを主とした進行方向の道路情報が取得できたのに対し、ETC2.0はこの距離(提供範囲)が1000kmまで拡大している。ちなみに電波ビーコンは2022年3月末でサービスを終了している。

 これにより、より広範囲の渋滞情報を取得し対応するカーナビにデータを送ることで最速ルートを検索し案内してくれるというもので「ダイナミックルートガイダンス支援」と呼ばれている。

 いわゆるITS領域のサービスだが、これのメリットがあまり感じることができないのだ。よほどのクルマ好きならば1000km走行なんて朝飯前かもしれないが、普通のドライバーが帰省以外などでこの距離を走るケースは少ない。

 実はここで冒頭に触れた中型車以上の装着率が高い理由と連携する。物流をメインとした商用ドライバーの場合、長距離走行は当たり前の世界である。我々が寝ている間にも物流に携わるドライバーは常に荷物を運んでいることは誰もがわかっているはずだ。

 こういうプロドライバーであれば、このサービスのメリットも享受しやすし、経費節減のために「圏央道割引」や「東海環状自動車道割引」との連携も積極的に活用するだろうが、一般ドライバーの場合にはシステムと実際の使用感が乖離(かいり)している。

 渋滞回避であれば、もう少し狭い範囲にはなるが、装着が進んでいる「VICS-WIDE」や各自動車メーカーが展開しているテレマティクス機能の方がリアルなメリットを感じることができる。

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