1000km先の渋滞、本当に必要なのか?
何度もくどい話で恐縮だがETC2.0のメリットは大容量かつ高速でデータをやりとりできる点にある。
これまで高速道路などでの渋滞情報と言えば、VICSの電波ビーコンが主流だった。ただこのシステムは前方200kmを主とした進行方向の道路情報が取得できたのに対し、ETC2.0はこの距離(提供範囲)が1000kmまで拡大している。ちなみに電波ビーコンは2022年3月末でサービスを終了している。
これにより、より広範囲の渋滞情報を取得し対応するカーナビにデータを送ることで最速ルートを検索し案内してくれるというもので「ダイナミックルートガイダンス支援」と呼ばれている。
いわゆるITS領域のサービスだが、これのメリットがあまり感じることができないのだ。よほどのクルマ好きならば1000km走行なんて朝飯前かもしれないが、普通のドライバーが帰省以外などでこの距離を走るケースは少ない。
実はここで冒頭に触れた中型車以上の装着率が高い理由と連携する。物流をメインとした商用ドライバーの場合、長距離走行は当たり前の世界である。我々が寝ている間にも物流に携わるドライバーは常に荷物を運んでいることは誰もがわかっているはずだ。
こういうプロドライバーであれば、このサービスのメリットも享受しやすし、経費節減のために「圏央道割引」や「東海環状自動車道割引」との連携も積極的に活用するだろうが、一般ドライバーの場合にはシステムと実際の使用感が乖離(かいり)している。
渋滞回避であれば、もう少し狭い範囲にはなるが、装着が進んでいる「VICS-WIDE」や各自動車メーカーが展開しているテレマティクス機能の方がリアルなメリットを感じることができる。
車載器がまだまだ高額
過去から言われていることだが、ETC2.0の機能を使うためには専用の車載器が必要だ。
冒頭に書いたように料金収受に関してはETCでも問題はない。昨今、首都高速の料金所では有人の料金所を廃止しETC専用入口が拡大しているが、これも普通に使うことができる。
そもそもETCが普及したのはキャッシュレス決済や料金所での渋滞が軽減できることでスムーズ&スマートな交通環境を構築できることだった。つまり普段の利用に関しても「あくまでも基本は」ETCで十分なのだ。
特にサービス開始時の頃はETCとETC2.0車載の価格差があまりにも違いすぎた。
国が2008年頃に無料で車載器のセットアップサービスを行ったことでETCの認知と普及は加速した。当時多くのユーザーが飛びついたわけだが、概ねセットアップも含めるとETC車載器は1万円強で取り付けられることも意識の中に植え付けられているのではないだろうか。
しかしETC2.0は価格が高かった。ヘタをすれば車載器の価格は数倍以上のものもあり、いくら多機能でもそこまでお金を出すことに抵抗があったのは想像できる(当時は筆者もそうだった)。
価格は大分下がってきて買い得感も上がる
ただ昨今はこの価格差もかなり縮まっていることも理解しておく必要もあるだろう。
一例だが、話題沸騰のトヨタ新型プリウスだと下記の通りとなっている(いずれも税込み)。
・メーカーオプションのETC2.0車載器(ナビ連動型)→2万7500円
・ディーラーオプションのETC2.0車載器(ビルトインタイプ)→2万5850円
・ディーラーオプションのETC車載器(ボイスタイプ)→1万4300円
・ディーラーオプションのETC車載器(ベーシックタイプ)→1万1000円
確かに価格だけ見るとETC2.0車載器はETC車載器の約2倍なのでパッと見の高さは否めない。
それでも他社で5万円近くするメーカー系のETC2.0車載器が普通に販売されていることから考えるとトヨタは企業努力もしているし、実際ディーラーでセールスマンに話を聞いても納得のできる勧め方をしてくる。多分、機能云々を語る前に車載器自体が普及価格帯に落ち着くことが重要であると感じている。



コメント
コメントの使い方実際のところETC2.0は必要か?
今になってみれば必要性なんてほぼ無いに等しい。この原因は頭が悪く(Google Mapとの力とスピードの差を分からなかった)税金と同類の金でやってる無責任さから10年も前に無用と明白になっているのに中止できない現実が有ったのでしょう。
一般のドライバーからしたら、普通のETC車載器に比べてわざわざ高い値段を払う価値を感じないんでしょう。
ETC2.0は無駄な情報が入ってくるのがウザい。
神奈川県内の圏央道から愛知県方面にナビをセットして走ってるのに、首都高何号が渋滞中とか通行止めとか東京方面の情報何か要らねえよって毎回思う。かえってドライバーを惑わせてるじゃんかって。
目的地をセットしてるんだから反対方面のいらない情報はカットしてほしい。
>中型は道路交通法の区分では車両総重量7500kg以上、11000kg未満(最大積載量は割愛
高速道路の料金体系をもう一回調べ直してから、記事書きな