■2代目はコンセプトを継承しながら機能性と走りをバージョンアップ
ミニカトッポのように定番から外れた個性派モデルの場合、新車市場に話題を振りまくものの1世代で生涯を終えてしまうケースがほとんどだが、ミニカトッポはその例に当てはまらず、軽自動車クラスの人気モデルとなって1993年9月には第2世代へと進化していく。
2世代目も車両コンセプトは初代と変わらず、デザインやメカニズムは初代同様に乗用車のミニカから流用されていた。ボディサイズはホイールベースが若干(20mm)延長された以外はほぼ同じで、モデルバリエーションについても5ナンバー登録となるセダンと、4ナンバー登録が可能なバンの2種類が用意された。
2代目もユニークであることに変わりないが、特にボディ構造の仕様が多彩で、大きさの異なる左右非対称の1:1ドア仕様と、さらにドア枚数が右1枚、左2枚の1:2ドア仕様を用意していた。いずれも初代で好評だった実用性や乗降性を考慮しつつ進化を図ったもので、そのユニークさ以上に、利便性という点でユーザーから高い評価を獲得した。2代目ときには、ルーフの高さをさらに高めて1765mmに設定したスーパーハイルーフもラインアップしていた。
2代目では搭載するパワーユニットもバージョンアップしている。初代は上位グレードに電制燃料噴射装置付きDOHCエンジンを搭載したほか、キャプレター仕様SOHCを2タイプ設定し、いずれも直列3気筒だった。
1992年に実施したマイナーチェンジでDOHCエンジンを吸・排気効率の高い5バルブ仕様に変更し、さらにターボエンジンも追加されている。2代目になるとエンジンは全車4気筒仕様となり、排気量が657ccから659ccに変更された。
64psを発生するターボエンジンを筆頭に、SOHC仕様にはインジェクション仕様とキャブ仕様が設定される。組み合わされるトランスミッションは、三菱独自の総合制御システムであるINVECSファジィシフトの4速ATのほか、3速AT、5速MT、4速MTの4タイプ。エンジン、トランスミッションともにバリエーションを豊富に揃えていたあたりはバブルの名残りと言えるかもしれない。
初代、2代目と合わせて約8年間、ミニカトッポは軽自動車クラスで独自路線を築き、標準車をはじめ、「タウンビー」のようにカタロググレードへ昇格するほどの売れ行きだった特別仕様車も含め、ベース車のミニカとともに当時の三菱の屋台骨を支える存在となった。
初代登場の時点でミニカトッポは販売的に成功していたわけだが、それに乗っかるカタチで、自動車を販売していた他メーカーはこぞってハイルーフタイプの軽自動車を次から次へと登場させる。スズキワゴンR、ダイハツムーヴの2強をはじめ、ホンダライフといった車種は、ミニカトッポを凌ぐ売れ行きで軽自動車クラスをリードしていくことになる。
当初からハイルーフタイプの軽自動車になるべく設計、デザインされたライバルが登場し定番になると、ミニカトッポは登場時の斬新さが薄れ、軽自動車クラスのなかで旧態化するのは避けられなくなってしまう。
こうしたなかでもファンは一定数存在したが、ワゴンRやムーヴの牙城を崩すまでには至らず、ミニカトッポは1998年10月に販売を終了。3代目の登場はなく、当時の軽自動車クラスで定番になりつつあったワゴンRやムーヴを追従するように登場した「トッポBJ」へバトンタッチする。
ボディサイズに制約があり、小さくあることが強制されている軽自動車でありながら、全高を安全な走りに影響を及ぼさない範囲まで高めて広い室内空間を確保。
その室内を快適かつ便利に使えるアイディアを豊富に盛り込むことで、ミニカトッポは「軽自動車なのに使える!」というイメージをユーザーに植え付け、現在の新車市場を席巻しているスーパーハイルーフの礎になった。紛うことなき平成の名車に数えられるだろう。
【画像ギャラリー】アイディア次第で小さいクルマも使えるようになることを証明した、ミニカトッポの写真をもっと見る!(4枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方トッポは生花店のイメージがあるなぁ。絶対的積載量では軽トラやワンボックスバンに敵わないけど、胡蝶蘭やゴールドクレストのような高さのある鉢植えは、軽セダンだと頭がつかえる。