■モータースポーツを戦う高性能な派生モデルもラインアップ
ストーリアは1998年2月に登場し、2004年6月まで販売されていたが、その間、標準仕様のほかに魅力的な派生モデルをリリースしている。なかでもモータースポーツ競技のベース車両として発売された「ストーリア X4(クロスフォー)」は、ダイハツが作り上げたホットハッチとして話題となった。
フルタイム4WDの「ストーリア CL 4WD」の5速MT車をベースに、新開発JC-DET型713cc4気筒ツインカムターボエンジンを搭載。サスペンションは形式こそ同じだが、ショックアブソーバー、コイルスプリングが強化され、トランスミッションもクロスギヤレシオとして強化クラッチが奢られている。
もちろん、競技に不要な装備はすべて排除されるという、徹底した簡素化によってボディは約20kgの軽量化。840kgという車重に対して、120psというパワーは十分すぎるパフォーマンスで、リトルモンスターと呼ぶに相応しい走りを見せつけた。
またストーリアは輸出され、海外では「シリオン」という名前で販売されていた。ヨーロッパ各国では新しいタイプのスモールカーとして人気を集め、ドイツ交通クラブ(VCD)が発表した1998年度の「環境にやさしいクルマ」調査において第2位に選ばれるなど、その実力が高く評価されていた。
2000年5月のマイナーチェンジでは、1.3Lエンジン搭載車を追加した上級シリーズを設定し、“小さな高級車”という価値に磨きをかけている。コンパクトカーをエントリーモデルと位置づけているメーカーとは異なり、小さなクルマをメインに作り続けてきたダイハツにとってのストーリアは、ダイハツのラインアップにおける上位機種で、実質的なフラッグシップといっていい。
だからこそ小さくても上質で使い勝手がよく、走りにも満足できることにこだわって作り込まれていた。大ヒットといえるほどの販売は記録していないが、オリジナリティに溢れた個性でユーザーに愛されたコンパクトカーとして、クルマ好きの間で記憶されている。
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