やり始めたらやり遂げる
こだわりと言えば、直6エンジンもそう。
現在ではBMWも主力は直4となってきているが、メルセデス、ホンダ、日産が直6からV6や直4ターボに一気に切り替えたのとは対照的に直6エンジンに大切に育ててきた。
BMWが直6エンジンにこだわるのは、そのバランスのよさによる滑らかな回転フィールにあり、BMWのFR車には必要不可欠と判断しているからだ。
直6エンジンはエンジンの全長が長くなるため衝突安全面で不利というのが最大の理由だったが、BMWはエンジンを車両のセンターにできるだけ搭載するなどしてクラッシャブルゾーンも確保して克服してきた。
メルセデスが20年ぶりに直6を復活させ、マツダも新規の直6を開発し次期マツダ6に搭載するという有力情報もあるように、直6エンジンが再び脚光を浴びようとしているが、これもBMWにしてみれば、我が道を行くのみでどこ吹く風といった感じだろう。
やり始めたらやり遂げる、これこそBMWのポリシーで、いろいろな自動車メーカーがトライするもモノにできていないランフラットタイヤを使い続けて一定の成果を出しているのもその典型でBMWらしい。
ハンドリングに正解はない
BMWはハンドリングにこだわり、その評価は世界的にも高い。
ボク自身も323i(E21型)を中古で購入して以来BMWのハンドリングに魅了されたクチで、グループA時代にはM3(E30)で並みいるライバルドライバーとのレース、バトルを楽しんだ。
M3のレーシングマシンは基本的にオーバーステア傾向だが、ドライバーの動かし方でハンドリングが変わることに魅了された。
彼らはハンドリングに正解がないことを知っている。だから試行錯誤を繰り返し、失敗と呼ばれることもある。
BMWは元来アシを動かすセッティングを施していて、ホイールの上下動をうまく生かして、乗り心地を両立。しかし動く足は高速で不安定になるというデメリットを持っている。
それに対し現行の3シリーズの乗り味はかなり硬い。高速で不安定になるのを嫌った結果だが、硬いアシの場合ハーシュが出るのは当たり前。そのハーシュを消そうとするのではなく、BMWは始まりをちょっと柔らかくしてやれば、ドライバーに不快感を与えないと考え、タイヤとブッシュでいなしている。
これにより最初にドンとくる角が柔らかくなり、サスが硬いからバウンシングしないからすぐに収まる、という形に仕上げているのは見事といえる。
量産車としては妥協点が高い
BMWは唯我独尊のクルマ作りと称したが、開発において目標は設定するが、特定のクルマなどをベンチマークとすることがない。
国産車の場合、多くのクルマは特定のライバル車を設定してベンチマークを作るのが一般的だ。
これは開発目標を設定しやすい、というメリットはあるが、ベンチマークを作ってしまうとそれを超えることができない。日産GT-Rが世界を驚かせる性能で登場したのは、ベンチマークを作らなかったからだと思う。
いくらこだわりを持っているBMWも量産車であるがゆえに、少々生産車のようなコスト度外視の自由なクルマ作りはできない。当然設計サイドとクルマを作る側のいろいろなせめぎ合いによってお互い妥協する。
BMWはその妥協点がほかのメーカー、特に国産メーカーに比べて設計サイドに寄っているように思う。日本メーカーではマツダがこの傾向にあり、マツダ3を見れば設計サイドがかなり無理を通したんだな、というのがわかる。
BMWのこのこだわりを押し付けと感じる人もいるため万人受けするわけではないが、好きな人にとってはこの上ない歓びを与えてくれるのだろう。
BMWが日本でブランドイメージを確立し、堅調な販売をマークしているのも、日本でBMWの頑なまでのこだわりが認知されているからだと思う。
【日本で新車で買えるBMW車(2019年11月現在)】
■1シリーズ
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■3シリーズセダン/ツーリング/グランツーリスモ
■4シリーズクーペ/カブリオレ/グランクーペ
■5シリーズセダン/ツーリング
■6シリーズグランツーリスモ
■7シリーズ
■8シリーズ/グランクーペ
■M2
■M4クーペ/カブリオレ
■M5
■M8/カブリオレ
■Z4
■X1
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■X3
■X4
■X5
■X6
■X7
■i3
■i8
【BMWの日本での販売台数、シェアの推移】
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