【スバルのWRC復帰説を追う!!】2022年にXVで参戦か?


 2020年11月19~22日に開催されることが決まったWRCラリージャパン。WRCが日本で行われるのは実に10年ぶりのことだ。

 しかも、2019年シーズン、トヨタが25年ぶりにドライバーズ&コ・ドライバータイトルを獲得するなど、ここのところ日本に関連するWRCの話題で上げ上げムードになっている。

 そんななか、スバルが2022年にもWRCに復帰するのではないか、という噂が流れている。2022年にWRCのレギュレーションが変わり、パワートレインがハイブリッドとなり、ボディサイズの変更が可能になるため、スバルにとってWRC復帰への障害はなくなった、とさえ言われている。

 はたして本当にスバルはWRCに復帰するのか? それとも儚き幻なのか? WRCジャーナリストの古賀敬介氏が現時点でわかっていることすべてをお伝えする。

文/古賀敬介
写真/ベストカー編集部 ベストカーWEB編集部

【画像ギャラリー】栄光のスバルWRCマシン詳細


スバルのWRC参戦終了から早11年

2003年のWRCドライバーズタイトルを獲得したペター・ソルベルグ。写真は初開催となった2004年のラリージャパンで初代王者に輝いた時のマシン、インプレッサWRC2004。ボディサイズは全長4415×全幅1770×全高1390mm。エンジンはWRC規定の34mmリストリクター規定のIHI製ターボを装着した1994㏄フラット4(300hp/5500rpm、60kgm/4000rpm)。車重はWRC規定の1230kg

 スバルがWRCへの復帰を検討しているようだ。マニュファクチャラーズタイトルを3回、ドライバーズタイトルを3回獲得するなど、WRCを一時席捲したスバルは、2008年シーズンを最後にWRCワークス活動を終了。

 その後、10年以上の月日が経過したが、活動再開の話は噂レベルでもなかなか聞こえてこなかった。

 スバル、そしてモータースポーツ部門の子会社であるSTI(スバル・テクニカ・インターナショナル)の内部には、WRC復帰を望む人も少なからずいたと聞くが、企業としてのスタンス、そして現行WRカーのレギュレーションが大きな障害となり、検討するレベルにも至らなかったようだ。

 しかし、流れは変わりつつある。2008年にスバルが撤退を決めた大きな理由は、成績不振、そして世界的な経済の低迷だった。

 ただし、それだけではなく「ラリー=泥=田舎的」という、それまでのブランドイメージを大きく変えたかったというのもまた事実に違いない。

 実際、当時のスバルはWRCからの撤退作業を進めつつ、WTCC(世界ツーリングカー選手権)への参戦を真剣に検討していた。

 それがレギュレーション的に難しくなったと判断するや、ニュルブルクリンク24時間レース、スーパーGT、GT300クラスへの参戦を本格化させた。

 つまり、オフロードのイメージを払拭し、都会的な、洗練されたブランドへと脱皮しようと試みたのである。

 確かに、近年のスバルはより一般的なイメージのメーカーとなった。かつてはマニアックなファンのアイコンであったインプレッサも、WRXを分離し上品なコンパクトカー路線へと大きく舵を切った。

 今の若いユーザーは、インプレッサ=ラリーというイメージをまったく持っていないように感じる。そういう意味では、確かにダートのイメージを消し去ることには成功したといえるだろう。

 しかし、それと同時に、クルマ好きの心を激しく揺さぶるようなメーカーでなくなりつつあるのも、また事実だ。

 水平対向エンジンとシンメトリカルAWDという独自の技術で、世界を相手に戦いWRCの頂点に立った、あの古き良き時代のパッションが、今のスバルには感じられない。それはクルマ作りにしても、モータースポーツ活動についてもだ。

スバル&STIによるニュルブルクリンク24時間レースへの挑戦。2019年はSP3Tクラス2連覇、総合でも暫定18位だった

 ニュルブルクリンク24時間レースへのチャレンジは素晴らしいプロジェクトであるし、クラス優勝を遂げるなど成果を残している。

 しかし、ファンが本当に見たいのは、総合優勝を争うスバル車の姿ではないだろうか?

 また、スーパーGT、GT300クラスに関しても同様で、ワークスチームの看板を背負いながらも、セカンドカテゴリーでなかなか優勝できない厳しい状況が続いている。

 たまに勝てれば幸せというファンはそれほど多くないはずだし、自分の周囲にも現状に満足していないファンやオーナーが多い。

2022年WRC復帰説は本当か?

 そこで、改めて浮上してきたのがスバルのWRC復帰論だ。先日発表されたWRX STI EJ20のファイナルエディションには、WRブルーのボディカラーも設定され、販売台数は555台である。

 あえて説明するまでもないが、WRはワールドラリー、555はかつてのスポンサーであるBATのタバコブランドであり、インプレッサ555というWRCチャンピオンマシンのアイコン的ナンバーである。

 ラリーのイメージを払拭しようとしながらも、WRC時代の栄光を引用するマーケティング手法に、スバルの迷いを感じるのは自分だけだろうか?

 スバル/STIの内部でも、これまで何度かWRC復帰案が上がったようだが、現行WRカーのベースに相応しいコンパクトカーがスバルのラインナップにはなく、真剣に検討されるまでに至らなかったと聞く。

 一時はトヨタラクティスのOEM車である、トレジアでR5カーやWRカーを作るという案も提出されたようだが、水平対向エンジンを搭載していないこともあり、即却下となったようだ。

 現在のWRカーは、ベースボディの軽さと、前面投影面積の小ささが運動性能に大きく影響するため、全車がBセグメントのコンパクトカーをベースにしている。

 そのなかでもヤリスはひときわコンパクトで、最大規定サイズのなかで、その分だけワイドなフェンダーを備えることができ、それが空力面で大きなアドバンテージになっていると考えられている。

 つまり、現行規定下においては、ベースボディが小さいクルマほど有利であり、そういったクルマを市販車にもたないスバルは、スタートラインにすら立つことができなかったのだ。

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