2022年WRC復帰説は本当か?
そこで、改めて浮上してきたのがスバルのWRC復帰論だ。先日発表されたWRX STI EJ20のファイナルエディションには、WRブルーのボディカラーも設定され、販売台数は555台である。
あえて説明するまでもないが、WRはワールドラリー、555はかつてのスポンサーであるBATのタバコブランドであり、インプレッサ555というWRCチャンピオンマシンのアイコン的ナンバーである。
ラリーのイメージを払拭しようとしながらも、WRC時代の栄光を引用するマーケティング手法に、スバルの迷いを感じるのは自分だけだろうか?
スバル/STIの内部でも、これまで何度かWRC復帰案が上がったようだが、現行WRカーのベースに相応しいコンパクトカーがスバルのラインナップにはなく、真剣に検討されるまでに至らなかったと聞く。
一時はトヨタラクティスのOEM車である、トレジアでR5カーやWRカーを作るという案も提出されたようだが、水平対向エンジンを搭載していないこともあり、即却下となったようだ。
現在のWRカーは、ベースボディの軽さと、前面投影面積の小ささが運動性能に大きく影響するため、全車がBセグメントのコンパクトカーをベースにしている。
そのなかでもヤリスはひときわコンパクトで、最大規定サイズのなかで、その分だけワイドなフェンダーを備えることができ、それが空力面で大きなアドバンテージになっていると考えられている。
つまり、現行規定下においては、ベースボディが小さいクルマほど有利であり、そういったクルマを市販車にもたないスバルは、スタートラインにすら立つことができなかったのだ。
2022年WRCのレギュレーションが変わりスバルにとって大きな障害はなくなった!
しかし2022年、WRカーのレギュレーションは大きく変わる。パワートレインがハイブリッドになり、ボディサイズの自由度が高まるのが大きなトピックであり、その2点はスバルにとって追い風となる。
ボディは、スーパーGTでも採用されている「スケーリング」が導入され、ベース車のサイズを縮小、あるいは拡大することが可能に。
それによって、Cセグメントの現行インプレッサを、ヤリスと同じBセグメントのサイズに縮めることができるようになるのだ。
さらに、ボディストラクチャーに関しても、パイプフレームを使うことが許されるため、ベースカーの縛りはほぼなくなる。
これは、妥当なBセグメント車を持たないスバルにとって朗報であり、少なくとも技術面に関してWRC復帰の大きな障害はなくなったと思われる。
ハイブリッドシステムについては、まずは全車が共通部品を使うため、独自に開発する必要はない。また、将来的に開発自由度が上がっても、今や完全にグループ会社となったトヨタとある程度は共用できるはずだ。
唯一、スバルが絶対に譲らないだろうと思われるのは水平対向エンジンで、他車のように直列4気筒を横置き搭載する可能性は極めて低い。
ベース車はスバルXVか!?
以上のような条件を、現行のスバル車に当てはめると、「XV」がベース車として浮かび上がってくる。
今や世界的にSUVが流行しているが、今後はクロスオーバー色がより強いコンパクトカーベースのクルマが主流になるのではないかといわれている。
その点、XVはドンピシャで、ハイブリッドのイメージを高めるうえでも、WRC復帰は有効なマーケティング活動となるだろう。
他方、ベストカーが掴んだ情報によると、XVとは違う、現行のインプレッサスポーツクラスのスーパーAWDをトヨタとスバルで開発し、WRCに参戦するという話もある。
ただし、スバルのAWDは縦置きエンジン、トランスミッションを軸にしたプラットフォームが基本なので、業務資本提携しているといってもヤリスがスバルにOEM供給するわけではない。
インターネット上では、長年フォード車でWRC を戦ってきた英国のMスポーツがスバルにコンタクトをとっているという情報もあり、単なる噂ではなく、具体性を持った話として進んでいる印象を受ける。
その際は、Mスポーツとスバルの両チームで活躍したペター・ソルベルグが“名誉”代表を努め、息子のオリバー・ソルベルグがメインドライバーに、そして新井敏弘の息子である大輝もラインナップに加わるというストーリーはどうだろうか?
それほど荒唐無稽な妄想ではなく、参戦する可能性は極めて高いと思う。蒼き軍団復帰の報を楽しみに待ちたい。
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