シェアは維持できても販売台数は減る!?
トヨタの今度の動きで気になるのは、2020年5月から、全店が全車を扱う体制に移行することだ。トヨタ店のクラウン、トヨペット店のハリアーといった専売車種がなくなり、4つの系列は実質的に形骸化する。
複数系列の販売店が密集する地域では、トヨタ系販売店同士で激しい競争を展開するだろう。必然的に店舗数は減り、ヴォクシー/ノア/エスクァイアといった姉妹車を中心に、車種数も削減される。
この流れが加速すると、トヨタの登録車市場におけるシェアは減らなくても、全体の登録台数が下がることはあり得る。日産やホンダも、かつては販売系列を揃えていたが、これを撤廃して全店が併売になると店舗数と売れ行きを減らした。
例えば日産の場合、2000年代初頭の店舗数は3100カ所であったが、今は2100カ所まで縮小されている。国内販売台数も2005年には86.6万台だったが、2018年は61.6万台だ。
トヨタも全店併売、車種数の削減という方針を打ち出した以上、シェアは維持できても登録台数の減少は避けられない。
そしてトヨタの商品企画担当者は、「クラウンはお客様と、販売会社のトヨタ店、弊社が一緒になって育てた商品だと考えている」とコメントした。
販売系列はトヨタの強さの秘訣だから、それを形骸化させる痛手は、決して小さくはないだろう。カーシェアリングなどの分野で、トヨタがユーザーにいかなるメリットをもたらし、国内市場を活性化させるかが注目される。
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