【トヨタ10月シェア50%を超えて独り勝ち!!】王者の独走どこまで続く!??

今後もトヨタ車は堅実に売れ続ける

 昔からファミリーカーの価格上限は200万円前後とされ、1996年に発売された初代タウンエースノアの価格は、売れ筋になるスーパーエクストラが2Lエンジンを搭載して195万5000円(消費税別)であった。

 それが今は、同様の消費税別でも、ノーマルエンジンを搭載したノアSiは258万6000円だ。消費税別でも200万円前後のミニバンを探すと、1.5LのシエンタGが187万1000円、シエンタGクエロは201万2000円になる。

日本車は総じて高くなっているが、写真のノアSiも車両価格は258万6000円で、源流とも言えるタウンエースノアと比べると30%以上も高くなっている

 これに10%の消費税を加えると、ノアSiが284万4600円、シエンタGが205万8100円、Gクエロは221万3200円に達する。クルマの価格が高まり、消費税も10%になって、割高感がますます強まった。

 そのいっぽうで1世帯当たりの平均所得は、1990年代の後半をピークに下がり続けている。最近は少し持ち直す傾向にあるが、依然として20年前の水準に戻っていない。

 つまり安全装備や環境性能の進化でクルマの価格が高まり、10%の消費税も上乗せされ、そのいっぽうで所得は減っているのが実情だ。そうなるとユーザーとしては、買うクルマのサイズを小さくするしかない。

 そして今後所得が大幅に上向くとは考えにくく、当分の間、軽自動車とコンパクトカーの時代が続く。

 軽自動車の販売比率は前述のように国内市場全体の40%弱、コンパクトカーは25%(登録車に限れば約40%)という比率で推移するだろう。

ヤリスは2月から販売を開始。ヴィッツから車名変更しただけでなく質感を高めたプレミアムコンパクト的なキャラクターにチェンジして新たなユーザーを狙う

 この現状を見据えて、トヨタはルーミー&タンク、アクア、シエンタといったコンパクトな車種を揃え、先ごろコンパクトSUVのライズも加えるなど抜かりない。

 ヴィッツはフルモデルチェンジを受けてヤリスを名乗り、前席を優先させた上質なコンパクトカーに進化させる。

 今後はヤリスのプラットフォームを使って、かつてのファンカーゴに相当する背の高いファミリー向けの上質なコンパクトカーも開発されそうだ。

 市場に合った小さなクルマを中心に、トヨタ車は堅実に売れ続けるだろう。

日本車が大型化するなか、5ナンバーサイズで登場したライズ。税込み167万9000円から購入できる買い得感の高さも魅力的。SUVブームということもあり大ヒットする可能性も高い

軽自動車依存はトヨタに好都合

 ほかのメーカーも動向もトヨタの販売に影響を与える。

 今のホンダはN-BOXの売れ行きが好調で、国内販売の総合1位になった。しかしこれに伴ってホンダでは登録車の売れ行きが下がり、N-BOXだけで、国内で売られるホンダ全車の34%前後を占める。軽自動車の届け出台数を合計すると、ホンダ全車の50%以上だ。

軽自動車でナンバーワン人気のホンダN-BOX。しかしフィット、ステップワゴンなどのホンダユーザーの乗り換えが多いのがホンダにとって頭の痛いところ

 日産も軽自動車の国内販売比率が35%前後に達する。

 最近の日産は新型車が乏しく、堅調に売れる登録車はノートとセレナ程度だ。その結果、軽自動車の販売比率が上昇した。

 2019年度上半期の場合、デイズ+デイズルークスだけで日産の新車販売台数の29%になり、ノートとセレナを加えると67%に達するのだ。

日産はデイズの人気が高くデイズルークスと合わせて日産の新車販売の約30%を占める。売れるクルマだからセールスパワーが集中してしまうが利幅は大きくない

 このようにダイハツとスズキに加えて、ホンダと日産まで軽自動車への依存度を強めると、登録車が中心のトヨタにとっては都合がいい。直接的な競争相手が減るからだ。登録車市場のシェアをさらに伸ばしやすくなる。

 ただし軽自動車というカテゴリーは依然として脅威になるから、トヨタはコンパクトカーの品揃えを充実させる。ライズもそのひとつに位置付けられる。

トヨタは軽乗用では写真のピクシスエポック(ミライース)のほか、ピクシスメガ(ウェイク)、ピクシスジョイ(キャスト)の3車を販売中。軽に依存していない

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