デザインの「ストライクゾーン」とは?
それでは、マツダが「魂動デザイン」を続けていくうえで、モデルごとの個性(キャラクター)を打ち出しつつ、ブランド全体のデザインの統一性を保ち続けるという難しい課題を今後どう両立していくのか、マツダにストレートにぶつけてみた。
答えとしては「商品群を世代ごとに一括で企画し、開発、生産を行っていく」ことを前提に、
「マツダのビジョンを体現する『ストライクゾーン』を決め、そのなかで車種ごとの個性を活かす戦略を取っています。誰もがストライク(=マツダ)とわかり、そのうえで外角低め、内角高めなど、球のコース(=クルマ)を変えることで、クルマごとの個性も感じていただけるようにしています。
このような戦略を取ることで、規模の小さなメーカーながらも、ブランドを鮮明化して、マツダブランドとしての独自性を感じていただけるようにしています」とのこと。
そこであえて問いたいのは、「ストイライクゾーン」とは、顧客層が求めるニーズでもあるのではないかということだ。
でなければ、どれほど良い商品でも顧客に受け入れられないだろう。ニューモデルでは「ひと目見て新しい」と感じられる「個性」や「独自性」が求められるのだから、中身が進化したことをわかりやすく表現しなければならない。
この問いに対しては「ブランドとしての個性(ストライクゾーン)もブレてしまうので、マーケットの動向を考慮して、デザインの方向性を決定するようなことはしない」とのことだった。
モデルごとの個性を打ち出していくうえで「ストライクゾーン」を外さない戦略を実行するのはそう簡単ではないはず。
共通のデザインコンセプトを維持しつつ、前世代よりも確実に商品レベルを上げていく。
つまりブレずに現在の方向性を維持していくということだ。そんな高いハードルを、マツダが「魂動デザイン」を支持するユーザーの後押しを受けて乗り越えていけるのか見ていきたい。
MX-30は変化の兆しか?
マツダの「魂動デザイン」は最新モデルから第7世代商品群へと移行しており、「光の陰影をもたらす空気感」を重視するデザイン意図のもとに仕上げられたのが、新しい世代のマツダ3(日本市場での旧名:アクセラ)とCX-30ということになる。
一方でデザインテーマを進化させつつも、これまでの細部までの共通化をあえて強要しない手法を採ることもあることを見せてくれたのが、先の東京モーターショーで登場したクロスオーバーSUVのEVであるMX-30だ。
スタイリングを見ると、将来に向けた「魂動デザイン」の可能性を探る第一歩のように思えるが、マツダは次世代の「魂動デザイン」の提案ではないとコメントしている。ちょっと拍子抜けした人も多かったのではないか。
本来であれば、マツダ3/CX-30とつながるはずのMX-30のデザインが「魂動デザイン」として異端に感じられるのは、このモデルがマツダにとって“特別”であることを想像させるに裏打ちされている。
マツダがMX-30でEVであることを強調したいのであれば、ロードスターと共通する「MX」ではなく、電動車らしく「EX」のネーミングに落ち着いたのではないだろうか。
MX-30に施された細部のデザインを拾っていくと、他のモデルで共通する逆台形のグリルと周囲の加飾で構成される「シグネチャーウィング」を採り入れずに、横方向に薄いすっきりとしたフロントマスクを採用した。
さらにウィンドウ面積を小さく採ったうえで、ルーフからリアピラーをグレーの配色とした。サイドガーニッシュも天地方向に厚く採って、ボディ全体をコンパクトに見せている。
このMX-30は、ストライクゾーンではなく、変化球という落とし込みになったようだが、そろそろ違うデザインを見せてほしいと思うのは筆者だけだろうか。
最後に、2015年の東京モーターショーで公開されたRX-VIOSIONや2017年の東京モーターショーで披露されたVISIONクーペの市販型に期待したい。
コメント
コメントの使い方MAZDA6を筆頭に確かに美しい車もあるのですが、春音は3と30のリア周り、ぬめっとしたところがどうも苦手です。気持ち悪いです。車によるところが大きいと思います。また60のようなフロントはやめたほうがいい気がします。Mazda6の方向性で居てほしい。