「マツダのデザインにはもう飽きた」という声を耳にすることがある。ラインナップしているマツダ2、マツダ3、マツダ6、CX-3、CX-5、CX-8、CX-30のデザインを見ると、たしかに同じようなヘッドライトやグリルを採用している。
なぜ、同じようなデザインのクルマを作り続けるのか? という素朴な疑問を抱いている人も多いのではないだろうか?
そこで、コンセプトの核となる「魂動デザイン」を貫いているマツダはどのように考えているのか? 今後も同じデザインになるのか? モータージャーナリストの岩尾信哉氏が解説する。
文/岩尾信哉
写真/ベストカーWEB編集部
2010年から始まった魂動デザインに勝算はあるのか?
マツダがラインナップのデザインの統一を図るための概念である「魂動デザイン」を打ち出したのは2010年のこと。
以来、マツダは微妙にニュアンスを変えつつ、各モデルにクラスを問わず共通するデザインコンセプトを与え、少々口悪く言えば「みな同じように見える」モデルをあえて提案し続けている。
ちなみに、輸入車を見れば、欧州のプレミアムメーカーであるアウディ、メルセデスベンツ、BMWの“ドイツ御三家”が、モデルラインナップ全体の内外装に共通するコンセプトを与えて続けてきた。
それでは「魂動デザイン」をマツダはどこまで続けていくのだろうか。前述のように、日本メーカーでここまで大胆にデザインの共通化を実行した例は過去になく、「魂動(こどう)-SOUL of MOTION」のコンセプトを軸として、「飽きが来ない」「賞味期限の長い」デザインを追求しつつ、エクステリアなどの基本構成を「魂動デザイン」に基づいて継続的に採用してきた。
肝心なのは、このまま「魂動デザイン」のコンセプトをキープし続けてよいのかという問題だ。
マツダが小規模メーカーとして世界で勝負するために「プレミアムブランドとして上を目指す」という話をよく耳にするが、果たしてブランドの認知度を高めるための手段としてドイツ勢と同じコンセプトを推し進めてよいのだろうか。
たとえばメルセデスベンツは、伝統に裏打ちされた共通のデザインを各モデルに与えて、古くからのユーザーの求める「らしさ」を保ち続けつつも、新たな表現として内装に大型の液晶パネルを採用するなど、新技術を大胆に採り入れている。
1990年代の日産は、グリルやエンブレムなどにピンポイントでメーカー(ブランド)としての特徴を与えたうえで、ラインナップ全体のデザインに統一感がなくバラバラなようであっても、各モデルを個性的に仕上げる手法を展開していた。
むろん、先頃のキューブの生産終了などの例を見ても、デザインのマーケットでの寿命は、発表当時のインパクトの強さと反比例して短くなることを承知の上での戦略といえた。
いっぽう、日本メーカーの王者たるトヨタのデザインの仕立て方はなかなか巧みだ。
高級ブランドとしてのレクサスは2012年に逆台形の“スピンドルグリル”をGSに採用、トヨタは“キーンルック”と呼ばれるスタイリングをモデル全般に与えるなど、どちらのブランドもデザインの統一感を生み出すべく努力を続けている。最近、急速に勢力を拡大しているボルボも各車ほぼ同じデザインを採用している。
コメント
コメントの使い方MAZDA6を筆頭に確かに美しい車もあるのですが、春音は3と30のリア周り、ぬめっとしたところがどうも苦手です。気持ち悪いです。車によるところが大きいと思います。また60のようなフロントはやめたほうがいい気がします。Mazda6の方向性で居てほしい。