エリシオンと統合しハイルーフミニバンとなった5代目オデッセイ
そこで2013年に発売された5代目の現行型は、エリシオンと統合させ、フラットフロア構造のハイルーフミニバンになった。
後席側のドアはスライド式だ。現行オデッセイは、低床設計によって3列目シートも床と座面の間隔が十分に確保され、膝の持ち上がる窮屈な着座姿勢にならない。
アルファード&ヴェルファイアの3列目よりも快適で、多人数乗車時の機能は、オデッセイの方が優れている。
さらに低床設計だから乗降性が優れ、十分な室内高を確保しながら全高は1700mm以下に収まる。
低重心になって走行安定性も良く、アルファード&ヴェルファイアと機能の優劣を比べると、オデッセイの勝るところが多い。
しかし売れ行きはアルファード&ヴェルファイアの圧勝だ。オデッセイの登録台数は1ヵ月平均で1000台前後だが、アルファードは5600台、ヴェルファイアは3000台前後で、合計すれば9000台近いからシエンタに迫る。
アルファード&ヴェルファイア人気の背景にあるのは、独特のクルマ作りだ。アルファード&ヴェルファイアは、現行型でプラットフォームを刷新しながら、あえて低床設計を採用せずに床を高く維持した。
乗降性、走行安定性、動力性能、燃費など幅広い機能で不利になるが、外観が立派に見えて乗員の見晴らし感覚も得られるからだ。言い換えればLサイズミニバン特有の魅力を追求した。
たくさん売るためのクルマ作りをしなかったのがその理由
エスティマが生産を終えてオデッセイが売れ行きを低迷させた理由はこの裏返しだ。
アルファード&ヴェルファイアのような「たくさん売るためのクルマ作り」をしなかったことにある。アルファード&ヴェルファイアは、多くのユーザーが使っている以上、優れた商品と判断できる。
しかしエスティマやオデッセイが、売れ行きを低迷させているからといって、劣った商品とはいえない。
エスティマは設計が古く苦戦したが、オデッセイには先に述べた通り、優れた機能が多い。商品力と売れ行きが、必ずしも合致しないのは自動車ビジネスの難しさだ。
特にホンダの場合、最近はN-BOXに販売力を奪われている。国内で売られるホンダ車の30%以上がN-BOXで占められ、約50%が軽自動車だ。しかもオデッセイは「たくさん売るためのクルマ作り」をしていないから、登録台数が必然的に伸び悩んだ。
これは惜しい話だ。クルマは個人所有の乗用車でも、安全や環境を左右するから公共性を伴う。世の中のためにも、良いクルマはしっかりとアピールして、好調に売れるよう努力すべきだ。
エスティマはすでに生産中止なっているが、オデッセイには販売回復のチャンスがあると思う。
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