これまで日本にはたくさんのクルマが生まれては消えていった。そのなかには、「珍車」などと呼ばれ、現代でも面白おかしく語られているモデルもある。しかし、それらのクルマが試金石となったことで、数々の名車が生まれたと言っても過言ではない。
当連載では、これら「珍車」と呼ばれた伝説のクルマや技術などをピックアップし、その特徴を解説しつつ、日本の自動車文化を豊かにしてくれたことへの感謝と「愛」を語っていく。今回は、日常生活を拡張してくれる便利で使える軽自動車、ウェイクを取り上げる。
文/フォッケウルフ、写真/ダイハツ
【画像ギャラリー】ミラクルラゲージという実用的で柔軟な荷室設計を持つスーパーハイトワゴン軽、ウェイクの写真をもっと見る!(9枚)画像ギャラリー生活を広げるための道具としての視点を色濃く反映
ライフスタイルの多様化は、軽自動車市場においても同様に影響しており、維持費が安い移動手段という利点だけでなく、ライフツールとしての進化が求められている。
ダイハツが市場へ投入した「ウェイク」は、そうした軽自動車市場の変化を敏感に察知したモデルであり、スーパーハイルーフの軽自動車がウケていた要因である広さと使い勝手、居住性といった価値を再解釈することで新ジャンルを打ち立てた。
ウェイクは、視界性の向上と荷室空間の最大化をコアバリューとして開発され、軽自動車の既成概念の刷新を試みたモデルである。日常使用はもちろん、郊外でのアウトドアやレジャー活動といった多彩なライフシーンに柔軟に対応可能な多用途軽自動車という新たな価値提案を体現している。
ユニークなのは開発初期段階から、想定される45の具体的な使用シーンに基づくパッケージング最適化を実施したことだ。
これにより、運転時の見通しのよさと安全性を高次元で両立した「ファインビジョン」、および軽自動車規格内でトップクラスとなる室内高・荷室容量を誇る「ウルトラスペース」を実現する。単なる広さではなく、車内での作業性や積載効率といった実用機能の拡充に主眼が置かれている点が特徴すべきポイントだ。
さらに注目すべきは、特に利用頻度が高いと見込まれるキャンプ、釣り、登山、サイクリング、サーフィン、スノースポーツという6つのレジャージャンルの“プロフェッショナルユーザーと開発段階から意見交換を行い、現場でのニーズを直接反映させた点にある。これによりラゲッジまわりの実用装備やオプション設定が極めて高い現実適合性を備えることとなった。
「軽最大」と「多目的性」の融合に注力したパッケージング哲学
ウェイク最大の特長として、全高1835mmという規格上限ギリギリのサイズを活かした空間構造が挙げられる。室内高1455mmという圧倒的な縦空間は、それまでのスーパーハイルーフタイプを凌駕するもので、車内での着替えや直立姿勢での作業、車中泊といった用途への対応を可能にした。
圧倒的な室内空間の広さは「レジャー特化車両」としての使い勝手を飛躍的に向上させる要素にもなった。だからこそ、企画段階から45の使用シーンを想定し、アウトドア分野におけるレジャープロフェッショナルの意見を積極的に盛り込むことができたわけだ。
視界性にも徹底的にこだわっている。「ファインビジョン」と呼ばれる設計思想では、目線高を1387mmという高いポジションで着座できるよう設定した。これはスーパーハイトワゴンのなかでもでもトップレベルで、市街地走行での信号認識から郊外の長距離走行まで、優れた視界確保によってドライバーの負荷を大きく軽減する。
また見通しのよさは、運転の上手さを補完し、女性ドライバーや高齢者にも安心感をもたらすという、心理的効果をもたらした。
荷室の構造についても既存の軽自動車とは明らかに異なる特徴を有していた。ボディサイズに制約があるので、4名乗車時のスペースについては他の軽自動車とほぼ同様となるが、ウェイクの荷室フロア下には、約90Lという大容量のアンダートランクが備わっている。
2Lペットボトルが24本収容できる深さを持ち、リアシートを畳まずに長尺物を立てて積載できる。さらに、上下2段調節式のデッキボードを活用することで、荷物の形状や使用シーンに応じたフレキシブルな収納を可能としている。
加えて、撥水加工されたフルファブリックシートやビニール加工されたシート背面など、アウトドアでの使用を前提としたタフな作り込みもなされている。
また、リアゲート開口部にはユーティリティフックや固定ベルトも用意され、キャンプギアやスポーツ用品の積載をしっかりサポート。まさに移動するベースキャンプとしての役割が担えるほど頼もしい使い勝手を実現していた。











コメント
コメントの使い方重たいし、足は硬いし燃費は悪いし。660ccじゃ無理がある車や。