N-BOXの独走が凄い! 軽自動車新車販売10年連続第1位(2015年~2024年)、四輪車新車販売3年連続総合1位(2022年~2024年)、2024年の新車販売台数(通称名別新車販売台数)は1位、20万6272台と、軽自動車のみならず、四輪車の新車販売でも、圧倒的な人気を誇る。もはやライバルが付け入る隙はないのか? そこでN-BOXが属するスーパーハイトワゴンのライバル車、スペーシア、タント、ルークス、デリカミニと8項目にわたって徹底比較してみた。
文:渡辺陽一郎/写真:ベストカーWeb編集部、ホンダ、スズキ、ダイハツ、三菱
内装のデザインと質感比較
2025年6月に発売された新型ムーヴは、全高を1700mm以下に抑えながら、後席側のドアをスライド式にした。そしてスライドドアを備えた軽自動車では、全高が1700mmを超えるスーパーハイトワゴンのホンダN-BOX、スズキスペーシア、ダイハツタント、日産ルークス、三菱デリカミニが人気のモデルだ。
特にN-BOXは、先代型が発売された2017年以降、ほぼ一貫して国内販売の1位であり続ける。スペーシアも軽自動車の販売2位で、タントは3位に入る。そこでこの5車の機能を比べたい。なおボディサイズや運転のしやすさに大きな差はないため、違いの見られる実用面を中心に比べる。
インパネなど内装の質感は、先代型のN-BOXは高かったが、現行型では少しシンプルになった。現行型ではスペーシアが質感を高め、ルークスやデリカミニも満足できる。タントは実用指向が強い。
内装の視認性や操作性比較
先代N-BOXはインパネの上端が高く、前方が見にくかったので、現行型では70mm低く抑えて上面を平らに仕上げた。その効果で前方視界はN-BOXが最も優れる。2位はスペーシアだ。現行型でインパネが立体的になったが、前方視界は良好だ。
タントはインパネの最上部にデジタルメーターを配置した。奥まった部分に装着されて目の焦点移動は少ないが、小柄なドライバーには圧迫感が生じやすい。インパネの形状としては好みが分かれる。
前席の居住性比較
全車が全高を1700mm以上に設定したスーパーハイトワゴンだから、頭上空間は十分に確保される。車種ごとの差が生じるのは座り心地だ。タントは背もたれが腰を包む形状で座り心地が優れ、ゆったりとリラックスできる。
N-BOXも腰をしっかりと支えて、路面からのショックを効果的に吸収する。一方、背もたれのサポート性はあまり高くない。着座姿勢の自由度を重視した。
スペーシアの座り心地は平均的だが、ファブリックのシート生地が柔軟で、タントと同様にリラックスできる。
ルークスとデリカミニは基本部分を共通化した姉妹車で、両車とも背もたれが腰を包む形状だ。前席は全般的に優れている。
後席の居住性比較
取り上げた5車の中で、後席の座り心地が最も快適な車種はタントだ。しなやかで腰の近辺をしっかりと支えるから、長距離も快適に移動できる。N-BOXも座面が柔軟で快適だが、腰の収まり方はいまひとつだ。もう少し腰の下がる着座姿勢になると安定性が向上する。それでも不満はない。
スペーシアは売れ筋グレードにマルチユースフラップを装着した。後席の座面の前側を引き出したり角度を変える機能で、ミニバンのオットマンのように、ふくらはぎを支えられる。マルチユースフラップを反転させると、後席の座面の上に置いた荷物が床に落ちにくく、買い物などに便利に使える。
なおマルチユースフラップは、ほかの軽自動車には設定されない独自の機能だ。ふくらはぎをサポートするから快適性が高まると感じる一方、マルチユースフラップの装着により、座面にデコボコができる。座った時に違和感が生じる場合もある。一長一短だから座り心地を確認したい。
ルークスとデリカミニは姉妹車だから、後席の座り心地は基本的に共通だ。両車ともに座面の奥行寸法(乗員の大腿部と座面の接する)が短く、座り心地に違和感が生じる。以上のように後席の快適性を総合的に評価すると、1位がタント、2位はN-BOX、以下、スペーシア、ルークス&デリカミニと続く。
後席の足元空間も車種によって少し異なる。身長170cmの大人4名が乗車した時、後席のスライド位置を後端まで寄せると、後席に座る乗員の膝先空間はN-BOXが握りコブシ4つ分、タント/スペーシア/ルークス/デリカミニは3つ半になる。
後席で注意したいのは、後端までスライドさせて足元空間を広げると、乗員がリアゲートに接近すること。この状態では追突された時に不安が伴う。
そこで後席に座る時は、膝先空間が握りコブシ2つ分になるまでスライド位置を前方へ寄せる。この状態であれば、後席に座る乗員とリアゲートの間隔がある程度は離れて安心感も高まる。後席の後ろ側には、手荷物を置くスペースもできる。


































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