【3万円の510ブルに20万円のスープラ!?】あの名車の超激安物語 10選

【3万円の510ブルに20万円のスープラ!?】あの名車の超激安物語 10選

 クルマは高い物というイメージがあるが、選ばなければ激安中古車も掘り出される。そして、高いクルマじゃなくても、クルマというものの楽しさは変わらない。

「安くてボロボロだったけど、クルマに乗れる日々が楽しかった!」。

 今回は、そんな経験をした自動車評論家やレーサーなど、10人による安く手に入れた愛車との思い出エピソードを紹介! 皆さんも同じような経験があったりするかも?

※本稿は2019年1月のものです
文:ベストカー編集部/写真:ベストカー編集部、TOYOTA、HONDA、NISSAN、SUZUKI
初出:『ベストカー』 2020年2月10日号

【画像ギャラリー】自動車評論家、レーサー、ラリーストのエピソードに登場した思い出のクルマたち


■左ハンドル練習用に20万円でC2を購入
新井大輝 ≪シトロエン C2≫

 僕の今まで購入したクルマで一番安かったのは、大学2年生の頃にとある知人から譲ってもらった「シトロエンC2 VTS」。20万円です。

 買った直後はエアコンが壊れ、塗装も剥がれかけていて『ボロい』という文字がここまで当てはまる車両もないだろうなという感じでした。

日本では2004年から導入されたシトロエン C2。写真は新井大輝選手が現在も所有している愛車

 しかし、車重も軽く、軽快なハンドリングで運転できるC2はクルマ好きなら絶対に虜になるはずです。発売当時のC2の記事を読むと評論家さんたちはあまりほめていませんでしたが……。

 C2を買った理由は単純で、ラリー車が左ハンドルになった影響で、練習をするのに普段から左ハンドル車に乗っておく必要がありました。それに加えてメンテナンスから修理まで今まで全部やってきたものですから、C2は愛着が湧きすぎて手放せません。

 買った当初はジリ貧金なしで、日本の酷暑をエアコンなしのまま乗り切りました。ラリー車でもないのに汗でびしょびしょになりながら運転したのはいい思い出です。

 今は走行距離13万㎞。だいぶ走ったので、なるべく労って運転するようにしています。

■強烈な印象を残した破格の3万円SSS
片岡英明 ≪日産 510ブルーバード≫

 免許を取って最初に買ったのは1967年式の「ブルーバード1600SSS」だ。名車「510」の初期型で、ワイパーが外側に向かってふき取るタイプである。これを弟のツテで、書店を経営しているクルマ好きのお兄さんから譲ってもらった。7年落ちで、車検は3カ月しか残っていなかったが、3万円と破格だった。

1967年に登場した3代目ブルーバードは510型。写真は片岡英明氏所有のものではないが、同型、同年式のSSS

 免許を取ったばかりだったので、これで運転の面白さを知った、と言っても過言ではない。ずっと残しておけばよかった、と思うくらい絶好調で、その後のボクの運命を決めたクルマでもある。L16型の4気筒OHCはツインキャブのセッティングがバッチリ決まっていて、6000回転オーバーまで軽やかに回る。フットワークも冴えていた。

 それもそのはず、最初のオーナーは、あの黒沢元治さんで、友人だった本屋のお兄さんに譲ったクルマだったのである。当然、スポーツキットが組み込まれ、エンジンは気持ちよく回ったし、足の動きもよかった。これ以降、マークIIやサバンナに乗ったが、強烈な印象を残したブルSSSを知ったあとではフツーのクルマに感じられたものだ。

■15万円で買ってレストアが終わったら……
鈴木直也 ≪ホンダ ライフステップバン≫

 ボクが買ったクルマのなかで最も安かったのは、中古のホンダ「ライフステップバン」。1977年頃のことだ。

 1972〜1974年のわずか3年間しか作られなかったこのレア車は、デザインの可愛さで一部マニアに人気だったのだが、それが雑誌の個人売買欄に15万円ほどで出ているのを発見。つい衝動的にゲットしてしまったのだ。

ホンダのライフステップバンは1972年に登場。まさに現在の軽ハイトワゴンの原型

 購入後はさっそくレストアに着手。エンジン周りを軽く整備したり、きれいにペイントを塗り直したり、まさに実物大プラモデルのごとくオモチャとして楽しんだ。

 ところが、ひととおりレストアやドレスアップが終わったら、スーッと熱が冷めちゃったんだよねぇ。

 このステップバン、デザインは可愛いんだけど、中身は360cc時代のライフだからとにかく鈍足。しかも、乗り味はまんま軽トラ。当時はボクも若かったから、すぐ飽きがきちゃったのだ。

 まぁ、レア車ということもあって、再度雑誌の売買欄に出したらアッという間に25万円で売れたんですが、所有期間約半年の短いつきあいでしたねぇ。

■ホモロゲ切れレース車を1万円以下で
斎藤 聡 ≪日産 B110サニー≫

 19歳の時だったと思う。「B110サニー」のレースのホモロゲが切れて、解体屋に大量のプロダクション仕様のサニーが出されていた。で、それを5000円とか1万円でもらってきて、牽引ロープで筑波サーキットまで引っ張って行き練習していた。というのがボクのやっすいクルマ体験。

2代目となるB110型サニーは1970年登場。ツーリングカーレース車両としても人気を集めた

 ホモロゲは切れても昨日まで現役で走っていたクルマだから練習にはうってつけ。そんなクルマを友人と共同所有で一時4台くらい持っていた。解体屋のフォークリフトでエンジンを吊ってエンジン交換なんて無茶もやった。

 走っての思い出は、ちょうどポテンザRE47Sが登場した頃で、グリップがいいらしいというのでタイヤ交換。筑波サーキットに走りに行ったらグリップがよすぎてイン側のタイヤがフワッと1mくらい浮き上がって横転寸前 → コースアウト。ガードレールに突っ込んでしまった。当時のバイアスセミレーシングタイヤ(ダンロップG5)とは比べものにならないくらい横方向のグリップが高かった。これは衝撃的だった。

 実は、この頃からタイヤの深ーい体験をしていたって話。

■30万円の910ブルにニスモパーツなど装着
諸星陽一 ≪日産 910ブルーバード≫

 それまで乗っていた「パルサーエクサターボ」が壊れてしまい、お金もなかったので、何か安いクルマを探してたんですね。1980年代初頭のことです。予算は30万円! と決めてクルマ探しをしました。当時は、Y出版のD誌の仕事が多く、この模様は当時のD誌に掲載されました。

 安いクルマはたくさんあったのですが、私の探している条件はFRでターボかツインカム(死語だね)のFRでした。すでにAE86は新車販売を終えた時期で、人気モデルだったので、当然手が出ません。そうなるとほかのモデルということになります。

1979年に登場した6代目ブルーバードが910型。ヒットモデルでブルーバードでは最後のFR車となった

 探してみるとトヨタは無理だということがわかりました。最終的に候補となったのがいすゞの「ベレットGT」か日産の「ブルーバードSSS」。インターネットのない時代、電話と人脈だけが頼りで、やっと見つけた個体が立川中古車センターにありました。

 価格はキッチリ30万円。中古で見つけてきたアルミホイールに太めのタイヤを組んだら、重ステが死ぬほど重くなりましたっけ。その後、ニスモの足とステアリングを入れて、けっこう楽しんだなあ。

■20万円のスープラを同時期に2台所有!
岡本幸一郎 ≪トヨタ A70スープラ≫

 タダとか5万円とか10万円以下で手に入れたクルマもいくつもあるけど、70スープラはちょっと高くて各20万円。「各」なんですよ……(笑)。

 20年ほど前、個人売買でターボRを手に入れた。当時、同年式の相場は80万〜120万円という感じだったのに20万円と格安なのは相当ボロかったから。あらかじめ売主から「ボロいですよ」と聞いてはいたけど、実際本当にボロかった(笑)。しかたがないので自分でできるだけキレイにしたけど、キレイにするにも限界があった。

 そこで、キレイな70スープラが欲しくなって、ATのリミテッドを同じく個人売買で入手した。売主は70スープラマニアで、何台も収集してもてあまして売らざるをえなくなったという人。おかげでこちらも20万円と安く買えた。

A70型スープラは1986年に登場。岡本氏はビルシュタインダンパーなどを装着した2.5GTターボRに加え、もう一台AT車を購入

 これにボロいほうからいろいろ移植して理想の1台を作ろうと思ったりしたんだけど、よけい高くつくことから断念。しばらく2台持ちだったんだけど、やがて「スープラに乗りたい」という友人が現れてリミテッドを譲り、ターボRは「1JZが欲しい」という某チューナーさんの元へドナドナされていきましたとさ。

■10万円程度で買っては全損の繰り返し
大井貴之 ≪日産 B110サニー≫

 昔々、ベストカー編集部に出入りし始めた頃、もう10年以上前の話(本当は約40年前)、オレは全損男と言われていた。短いと3カ月。長くても1年保たずに全損。

 毎回大クラッシュをしていたわけではない。修理代が車両価格を上回ったら「全損」。当時のオレは10万円程度のクルマばかりを買っていたので、ちょっと壊れたらもう全損。さっさと次のクルマを買うという使い捨て方式。サニー、ブルーバードSSS、バイオレット、レビン、スターレット……、ドライビングが上手くなりたい一心で走りまくっていた。当時は走れるFRなんていくらでもあったからね。そこは今とは違う。

1970年に登場したサニークーペGXはSU型ツインキャブを搭載するスポーティグレードだった

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