RAV4、ジムニー、スイフト…安くても素材が良い!! “素うどん的”クルマ考 11選

■ジムニー ロードスター トゥインゴ…素うどんなクルマにこそ“クルマ作り”が見えてくる

 低価格グレードにこそ味わい深さの宿る「素うどん」のようなクルマは、優れた本質がないと成り立たない。エンジンでも「素」のよさを味わいたいから、可能ならMTを選びたい。

 そこで真っ先に挙げられる車種がジムニーだ。価格が最も安いXGの5速MTは、5速目のギヤ比が1.0になり、副変速機も併用すると、走行状態に応じて最適なギヤを選べる。

●スズキ ジムニーXG(5MT)

好みは分かれようが、ジムニーの魅力は大きい。最廉価のXGならば価格は148万5000円。高速道路を長距離走るような使い方にはお薦めしないが、荒れ地をグリグリ走る走破性は、スポーツカーとは異なる人馬一体感

 柔軟に伸縮する足回りと軽いボディで、悪路走破力は抜群だ。デコボコの激しい滑りやすい路面をゆっくり進むと、路面の状態が手に取るようにわかり、これも人馬一体の醍醐味だ。

 人馬一体といえば、スポーツカーのロードスターが本命になる。価格が最も安いソフトトップのSは、6速MTを採用しながら後輪側のスタビライザーをあえて省いた。

●マツダ ロードスターS

やっぱり外せないロードスター。ここはあえて最廉価のSグレードを推したい。価格は260万1500円。Sはリアサスのスタビライザーを省いたことでコーナリング限界は下がるものの、より操縦感が楽しめる足だ

 安定性は下がるが、後輪が粘りながら次第にグリップ力を弱めていく感覚は、初代ロードスターに似ている。運転すると、なぜか1980年代の記憶が蘇り、感傷的な気分になった。

 運転感覚が昔乗ったクルマに似ている車種には、ドライバーを過去に引き戻す不思議な力が宿る。これも普遍的な価値を持つ「素うどん」の魅力だろう。

 コンパクトカーでは、スイフトRSの5速MTを挙げたい。RSはスポーティグレードだから低価格ではないが、エンジンはマイルドハイブリッドを装着しないシンプルな1.2Lだ。

●スズキ スイフトRS(5MT)

スズキスイフトのRS、5MTは最近のクルマではなかなか感じられなくなってきた美味しい素うどん的な魅力を存分に味わえる。欧州仕様のサスペンションで操縦性はキビキビスポーティ。自動ブレーキも標準装備

 吹き上がりが活発で、5速MTの採用により動力性能をフルに引き出せる。ショックアブソーバーと16インチタイヤの設定は、欧州仕様に準じたタイプで、峠道の走りは軽快だ。

 RSの5速MTの価格は、衝突被害軽減ブレーキなどを備えて171万7100円だから求めやすい。

 輸入車ではルノートゥインゴを取り上げたい。エンジンを後部に搭載する後輪駆動車だから、車両の向きを変えやすく、駆動力の伝達効率も高い。

●ルノー トゥインゴ

リアにエンジンを搭載してリアタイヤを駆動するトゥインゴ。フロントが軽く、操舵感は軽快で、リアタイヤが押し出す感覚は楽しい

 後席と荷室は狭いが、実用的な5ドアボディで、車両との一体感のある走りを味わえる。姉妹車のスマートフォーフォーは、今は上級のブラバスのみだから高価格だが、トゥインゴには200万円以下のグレードもある。

 価格の安い輸入車の魅力は、いろいろな付加価値を取り去った結果、「これだけは譲れない」ブランドの本質が赤裸々に残ることだ。

 VWアップやフィアット500にも当てはまるが、トゥインゴの場合は、メガーヌ・ルノースポールなどに通じるドライバーのコントロール性を最優先させたルノーブランドの運転感覚が一番の魅力となる。

 クルマ好きが納得できる「素うどん」で、このようなクルマが生まれる欧州市場が羨ましく思える。

(TEXT/渡辺陽一郎)

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