■ジムニー ロードスター トゥインゴ…素うどんなクルマにこそ“クルマ作り”が見えてくる
低価格グレードにこそ味わい深さの宿る「素うどん」のようなクルマは、優れた本質がないと成り立たない。エンジンでも「素」のよさを味わいたいから、可能ならMTを選びたい。
そこで真っ先に挙げられる車種がジムニーだ。価格が最も安いXGの5速MTは、5速目のギヤ比が1.0になり、副変速機も併用すると、走行状態に応じて最適なギヤを選べる。
●スズキ ジムニーXG(5MT)
柔軟に伸縮する足回りと軽いボディで、悪路走破力は抜群だ。デコボコの激しい滑りやすい路面をゆっくり進むと、路面の状態が手に取るようにわかり、これも人馬一体の醍醐味だ。
人馬一体といえば、スポーツカーのロードスターが本命になる。価格が最も安いソフトトップのSは、6速MTを採用しながら後輪側のスタビライザーをあえて省いた。
●マツダ ロードスターS
安定性は下がるが、後輪が粘りながら次第にグリップ力を弱めていく感覚は、初代ロードスターに似ている。運転すると、なぜか1980年代の記憶が蘇り、感傷的な気分になった。
運転感覚が昔乗ったクルマに似ている車種には、ドライバーを過去に引き戻す不思議な力が宿る。これも普遍的な価値を持つ「素うどん」の魅力だろう。
コンパクトカーでは、スイフトRSの5速MTを挙げたい。RSはスポーティグレードだから低価格ではないが、エンジンはマイルドハイブリッドを装着しないシンプルな1.2Lだ。
●スズキ スイフトRS(5MT)
吹き上がりが活発で、5速MTの採用により動力性能をフルに引き出せる。ショックアブソーバーと16インチタイヤの設定は、欧州仕様に準じたタイプで、峠道の走りは軽快だ。
RSの5速MTの価格は、衝突被害軽減ブレーキなどを備えて171万7100円だから求めやすい。
輸入車ではルノートゥインゴを取り上げたい。エンジンを後部に搭載する後輪駆動車だから、車両の向きを変えやすく、駆動力の伝達効率も高い。
●ルノー トゥインゴ
後席と荷室は狭いが、実用的な5ドアボディで、車両との一体感のある走りを味わえる。姉妹車のスマートフォーフォーは、今は上級のブラバスのみだから高価格だが、トゥインゴには200万円以下のグレードもある。
価格の安い輸入車の魅力は、いろいろな付加価値を取り去った結果、「これだけは譲れない」ブランドの本質が赤裸々に残ることだ。
VWアップやフィアット500にも当てはまるが、トゥインゴの場合は、メガーヌ・ルノースポールなどに通じるドライバーのコントロール性を最優先させたルノーブランドの運転感覚が一番の魅力となる。
クルマ好きが納得できる「素うどん」で、このようなクルマが生まれる欧州市場が羨ましく思える。
(TEXT/渡辺陽一郎)
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