最も安いグレードといえば、“鉄チンホイール”剥き出しや“無塗装樹脂バンパー”などチープなイメージが強い方も多い? されど、最安グレードには「安いだけで使えない」ものだけでなく、「安くて買い得」なものもあるのだ。
文:渡辺陽一郎/写真:茂呂幸正、TOYOTA、NISSAN、MAZDA、SUBARU、SUZUKI
買い得な最安グレードは多い?
最廉価グレードの全般的な傾向をいえば、推奨度の低いタイプが多い。設定されている目的が、法人の営業車やレンタカー、あるいは価格の安さで注目されることに置かれているからだ。そうなると機能や装備に対して価格が割安なのは、中級のグレードになる。
それでも例外的に買い得、あるいは注目度の高い最廉価グレードがある。まずはこれを紹介したい。
「安くても魅力あり!」最安グレード ベスト5
■5位:セレナS/243万5400円
マイルドハイブリッドとアイドリングストップが付かず、JC08モード燃費は15.0km/L(『マイルドハイブリッド』は17.2km/L)だが、装備は『マイルドハイブリッドX』(248万9400円)よりも充実する。
JC08モード燃費の違いが2.2km/Lなら、走行距離の短いユーザーにとっては『S』のほうが断然買い得だ。
■4位:フォレスター2.0i アイサイト/241万9200円(CVT)
以前のグレード構成では、アイサイト装着車は、最も安い仕様でも2.0i-Lアイサイト(268万9200円)だった。
それが2017年4月の改良で、27万円安い2.0iアイサイトが設定されている。ルーフスポイラーや外装の装飾、シートヒーターなどは省かれるが、基本性能は同じでアイサイトバージョン3も備わるから買い得感と安心感が強い。
■3位:レガシィアウトバック 標準/320万7600円(CVT)
高価格車だから最廉価のイメージではないが、17インチタイヤの装着によって乗り心地が絶妙に快適だ。走行安定性との調和も取れている。
逆に『リミテッド』(347万7600円)は18インチタイヤを装着して、スタブレックスライドのショックアブソーバーも備えるが、乗り心地が硬めになった。
「上級のリミテッドよりも安い方の乗り心地が快適」というのがこのグレードの注目点だ。
■2位:ジムニーXG/129万6000円(5速MT)
アルミホイール、電動格納式ドアミラー、ルーフレールなどを省いた簡素なグレードで、ジムニーの質実剛健なコンセプトに合う。
「ファッションではなく悪路を走るためにジムニーに乗る」硬派の選択肢で、スチールホイールならキズを気にする必要もない。むしろ使い込むと味わいが深まる。ジムニーの本質を突いたグレードだ。
■1位:ロードスターS/249万4800円(6速MT)
注目度ナンバーワンはロードスターSだ。6速MT専用のグレードで、リヤスタビライザー(ボディの傾き方を制御する棒状のパーツ)と、トンネルブレースバー(ボディ底面のセンタートンネルに装着された補強材)を省いた。
従ってボディ剛性は低下したが、Sの運転感覚は初代ロードスターにきわめて近い。カーブを曲がる時の後輪の接地性がほかのグレードに比べると低く、少し腰砕け気味に、捩れる感覚で横滑りを開始する。
この挙動の変化を感じ取りながら修正操舵を行うと、初代ロードスターの記憶が蘇る。初代を知らない人がドライブすると「運転感覚が曖昧で頼りないヘンなスポーツカー」と感じるだろうが、知っている人には感涙モノだ。
マニアの間では隠れた主役グレードになっている。
次ページ:最安グレード ワースト5 最下位はあの人気車!?
コメント
コメントの使い方