ホンダ N-WGN、日産・三菱のデイズ&eKワゴン、スズキのワゴンR、ダイハツ ムーヴ。群雄割拠の軽ハイトモデルで王座決定戦を実施。判定してくれるのは自動車評論家の吉川賢一氏だ。
昨年(2019年)8月にフルモデルチェンジしたN-WGN、同3月フルモデルチェンジのデイズ&eKワゴンに対し、ワゴンRは2017年12月、ムーヴは2014年と“古さ”が否めない。そういった点も含めて、元メーカーエンジニアの氏がどのように評価するのか注目したい。
以下、アルト、ミライースの一騎打ち採点(こちらは片岡英明氏)とともにお届け!
【画像ギャラリー】N-WGN、デイズ&eKワゴン、ワゴンR、ムーヴ…セダンモデルと合わせて軽ハイトモデルの画像をギャラリーチェック!!!
※本稿は2020年4月のものです。/文:吉川賢一(ハイト軽)、片岡英明(セダンモデル)/写真:ベストカー編集部/初出:『ベストカー』 2020年5月26日号
■ホンダ N-WGN(価格帯 129万8000~182万7100円)
N-WGNは最新のホンダセンシングが標準装備されるなど、先進運転支援装備が充実している。
渋滞追従機能付のアダプティブクルーズコントロール(ACC)により、目標の速度まで加速をしたあとはACCをセットすることで、軽自動車だというのを忘れてしまうほどによく走る。
乗り心地もよく、ロードノイズもしっかりと抑えられており、運転疲れもひときわ少ない。
EPB(電動パーキングブレーキ)とブレーキホールドも標準装備されているほか、軽には珍しく、ステアリングの位置調節機構がチルト(上下)に加え、テレスコピック(前後)も備えられている。
現時点、N-WGNは本カテゴリーのトップベンチ。まるでコンパクトカーを作るかのように仕上げられた、ホンダの本気の1台だ。
■日産 デイズ / 三菱 eKワゴン(価格帯 129万6900~181万1700円)
続いて、心地よい乗り心地とロードノイズの低さが、デイズ&eKワゴンの魅力だ。
段差や道路のつなぎ目を通過する際も、サスペンションとタイヤが路面の凹凸をよくいなすので、車体フロアに受けるショックが小さくすむ。
前型に対してロードノイズが相当静かになったことも、乗り心地のよさに貢献している。
また、ACC(アダプティブクルーズコントロール)とLKAS(レーンキープアシスト)を含む「プロパイロット(ミツビシ名はMIパイロット)」を採用している点もポイントが高い。
ただし、デイズ&eKワゴンのLKASは、すぐ目の前に見える白線の中央を走るように狙いすぎる傾向があり、直進走行中もハンドルが左右に小さく振れる動きをし、印象がよくない。
素の直進性が高いだけにもったいなく感じる。
また運転席側のサイドミラーが、小窓エリアに半分以上重なっており、クルマの右下に死角が生まれている。
こうした詰めの甘さが解消されるならば、デイズ&eKワゴンはさらによくなるだろう。
■スズキ ワゴンR(価格帯 116万3800~177万6500円)
いっぽうでスズキの軽といえば、モーターアシスト式マイルドハイブリッドの標準採用がウリだ。
EV走行ができるほどのバッテリー容量はないが、エンジンの最大トルク58Nmに対し、発進時のモーターによるアシスト量は40Nmと約70%も付加するため、かなり力強く感じる。
マイルドハイブリッドはシンプルな構造なのでコストがかからず、車両価格への跳ね返りが少なくすむこともプラスだ。
ちなみに、デイズにはハイウェイスターにマイルドハイブリッドの設定があるが、N-WGNとムーヴには、設定がない。
しかし、ワゴンRは先進運転支援が車線逸脱抑制警報のみでACCがなく、若干心許ない。運転が不安定になりがちな軽自動車には、先進運転支援技術が必須装備だと筆者は考えている。
せめて、メーカーオプションとして設定し、ユーザーが選択できるようにしてほしい。しかし、ヘッドアップディスプレイは、4台のなかで唯一、オプション採用されている。
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