進化し続けるプレミアムブランド キャデラックの現在地
キャデラックの2000年代のモデルの変遷については、頂点に君臨するエスカレードを除いて、ネーミングの変化などを辿っていけばその動きがわかってくるのだが、近年のキャデラックの北米市場の動きは慌ただしさを増している。
まずのセダンに関しては、北米市場では従来のミドルレンジのCTSと日本市場に正規では未導入のXTSを、ニューモデルとして2019年4月に発表したCT5に集約。
続いて前述のようにATSの代替わりとして、同年9月にコンパクトセダンのCT4を米国で発表した(2018年にATS、2019年にCTSの生産が終了)。
対して日本市場では、後述するビッグセダンのCT6が2015年の本国発表に続き2016年に、ネーミングを変更した新世代キャデラックの先駆けとして導入された。
SUV系の新車種については、最近では2019年に改良を受けたミドルクラスSUVのXT5(日本市場では後ろに“クロスオーバー”が付く)と、XT5とフルサイズSUVのエスカレードの間を埋めるモデルとしてXT6を2020年1月に同時に導入している。
新たなSUVモデルとしてフロントデザインを改め、横方向に伸びるLEDヘッドライトと大型グリルなどを備えた共通のコンセプトが与えられている。
ビッグセダン CT6の魅力とは?
日本市場にセダンとして唯一導入されているビッグサイズサルーンであるCT6(Cadillac Touring 6の略称)について触れておくと、新世代プラットフォームとして後輪駆動仕様の“オメガ・アーキテクチャー”を採用した4WD仕様モデル(旧世代のXTSは前輪駆動プラットフォームを採用)となる。
ちなみに、これまでキャデラックではミドルクラスではセヴィル→STS、デゥビル→DTS→XTSとつながり、現在のCT6にたどり着いたことを見れば、伝統的なアメリカンセダンの名残を感じさせる。
21世紀での第2世代への移行を意味するアルファベットと数字の組み合わせた初めてのモデルであるCT6は、2015年に米本国で発表、2016年に発売され、日本市場でも2016年5月に導入された。
全長は5180mm、ホイールベースが3110mmの大柄なボディにはアルミニウムを約6割使用するなど、100kgの従来モデルから軽量化が施された。
過去を見れば1990年代のセヴィルやドゥビルは、ドイツ勢にはない作りでアメリカンな鷹揚さを讃えていた。
いっぽう、2000年代から続いてきたシャープなデザインとハンドリングを備えたATS/CTSといったモデルは、欧州プレミアムブランドを意識して開発されて魅力的に仕上がったことを考えれば、新世代のCT5とCT4によって反転攻勢を仕掛けようとしているようだ。
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