ライズ、ハリアー、RAV4 PHV、そしてヤリス クロスと、とどまることを知らない、トヨタのSUVラッシュ。他にも、トヨタは2020年7月に、タイでカローラクロスを発売しており、トヨタは、おそらくこのクルマも日本へ導入するつもりだろう、と筆者は予測している。
ラインアップに多少オーバーラップするところがあっても、続々と新型車を投入するトヨタに対し、日産のラインアップには、そうした部分が一切ない。
「無駄のないラインアップ」といえばその通りなのかもしれないが、同ジャンル・同カテゴリで選択肢がひとつしかない、というのは、ユーザーとしては何とも面白みに欠ける。せめて、いま需要のあるSUVだけでも、海外専売モデルを導入するなどで、ラインアップを拡充してはどうなのだろうか、と考える方は多いだろう。
本記事では、かつて日本でも売られていた日産の海外専売SUVである、ジュークそしてムラーノの現行モデルについて紹介するとともに、なぜ日本へ導入されないのか、そして、もし日本導入となった場合の市場動向について、考察してみようと思う。
文:吉川賢一
写真:NISSAN
【画像ギャラリー】日本導入熱望!! 日産の海外専売SUV「ムラーノ」「ジューク」の現行モデルを写真でチェック!!
クーペ風SUVの元祖「ムラーノ」
日産ムラーノは、クーペ風SUVの先駆け的な存在だ。国内市場では2015年に2代目で終了となってしまったが、海外では、3代目ムラーノが現在も活躍している。
3代目ムラーノ(Z52型)は、北米のみならず中国やロシアなどで、「NISSANのスタイリッシュなSUV」として、世界的に認知されており、好評を得ているクルマだ。
LEDのデイライトを仕込んだブーメラン型ヘッドライトや、大きなVシェイプのグリルなどによって、ド派手なフェイスとなっており、サイドも流麗なウィンドウグラフィックが功を奏して、スタイリッシュでなかなかかっこいい。
■日本に導入されたら売れるのか?
日産SUVの中でもトップクラスの美しいデザインを持つ3代目ムラーノは、「日本市場でもいける!!」と言いたいところなのだが、2代目の日本市場からの撤退理由となった「ボディサイズ」「燃費」のいずれか1つでも解消されないことには、デザイン一本勝負だけでは、おそらくどうにもならないだろう。
特に、ボディサイズだ。初代ムラーノが北米市場でヒットしたことから、2代目以降は、北米での需要に、より合わせるため、ボディサイズがひと回り大きくなった。
それに加えて、ムラーノは、フロントのデザインがスラント形状であったために4隅の見切りが悪く、狭い日本国内の道路事情では、若干運転がしづらい。「デカさが良い」という顧客が一定数いるのかもしれないが、大半はこの日本離れしたサイズを嫌うだろう。
トヨタほどリソースがない日産の場合、北米市場に向けたムラーノと、国内向けのムラーノのボディを作り変えることは、到底できないだろう。
しかし、もし、このデザインのままで、全体スケールを5パーセントほど小さくし、全幅が1850ミリ程度になれば、ムラーノが国内でもヒットする可能性は、十分にあるだろう。筆者としては、まさにそのサイズで登場する日産のクーペSUV「アリア」に期待したいところだ。
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