最近はSUVの人気が高い。国内における新車の約15%をSUVが占める。2005年頃は約5%だったから、この15年ほどの間にSUV比率が急増した。
SUVの中でも特に注目されるのが、クーペ風の車種だ。厚みのあるフロントマスクに大径タイヤという組み合わせは従来のSUVと同じだが、ボディ後部の形状は異なる。クーペSUVは、リアゲートを寝かせ、車種によっては天井も少し低めだ。
さて、特に日本では、ミニバンやコンパクトカーなど、スペース効率の高いクルマが人気を集めてきた一方で、旧来のセダンやクーペタイプの車種は衰退が進んでいる。
そうしたなかで、なぜスタイル重視ともいえるクーペSUVがいま急増しているのだろうか。
文:渡辺陽一郎、写真:トヨタ、レクサス、日産、マツダ、ジープ、池之平昌信
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クーペSUVは国内外を問わず急速に増加
クーペSUVに該当するのは、日本車ではトヨタC-HR、ハリアー、マツダCX-30、レクサスRXなどだ。
最も分かりやすいのはC-HRだろう。2WDの全高は1550mmに抑えられ、リアゲートを大きく寝かせて、ボディの後部をクーペ風に仕上げた。ハリアーはさほどクーペの印象は強くないが、先代型に比べるとリアゲートを寝かせている。
CX-30もリアゲートの角度は極端ではないが、ボディサイドに曲面を持たせて周囲の風景が大胆に映り込む。ボディ形状の美しさやカッコ良さで周囲の視線を集めるクルマ造りは、クーペに通じる。
レクサス RXは、今ではデザイン手法に古さを感じるが、ボディサイドのラインは鋭角的だ。レクサス車の特徴と併せて、クーペSUVの持ち味も備えている。
そして、クーペSUVは欧州車にも多い。メルセデスベンツは、GLCクーペとGLEクーペを用意した。5ドアボディのSUVで、車名も「クーペ」を名乗る。
BMWではX4とX6が挙げられる。両車ともリアゲートを寝かせて、3シリーズグランツーリスモのような外観に仕上げた。
このほかレンジローバーイヴォークは、全高が1600mmを超えるものの、フロントウインドーを寝かせてルーフは後方に下降させた。外観は鋭角的で、これもクーペの印象が強い。フォルクスワーゲンTロックもリアゲートを寝かせた。
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