アルファードの魅力2 「オーラ」
そして、アルファードの魅力のもう一つが「オーラ」だ。アルファードは、クルマ全体のスタイリングから溢れる「威厳」が、他社車を圧倒している。その「威厳」の主な要因は、背の高さにある。
背高の高いクルマは、必然的に車両重心が高くなる。コーナリングではボディの傾きが多くなり、不安定さが増す。また、表面積が大きいことで横風の影響を受けやすくなるし、空気抵抗も増えるため、燃費も悪い傾向だ。そのため、自動車メーカーのエンジニアとしては、「クルマは背が低くなければ」と考える。
ホンダのオデッセイや、かつて存在したエリシオン、そして日産のエルグランドは、クルマを背高にすることで生じてしまう弱点を重視し、ミニバンであっても背が低いほうがよい、と考えた。背が低くても、室内空間は最大限確保できるよう、技術とアイディアで乗り越えつつ「背が低いミニバン」を目指したのだ。
しかしアルファードは、背高であることのメリットのほうを重視した。背高によるデメリットに対しては、リアのサスペンション形式を変更したり、トレッドやホイールベースを広げたり、軽量化をしたりと、できる限りの対策を行った。
そのためアルファードは、でこぼこした道でボディが左右にユサユサと大きく揺れることはあるが、大らかなボディモーションとなるように、乗り心地がコントロールされている。また、ハンドルもグイグイ切れ込むようなセッティングではなく、ゆったりとしたギア比にされている。
据え切りから高速走行まで、ステアリング操舵力が軽いので、操舵感を感じにくい、というネガティブな部分はあるが、高速直進性はしっかりと確保されている。優秀な先進運転支援の恩恵もうけ、乗り心地の雰囲気と合わさって、「アルファードの持ち味なのでこれで良いのだ」、と納得させられる世界観が、アルファードにはある。
なんとか次期型に繋いでほしい
今回のマイナーチェンジは、エルグランドもオデッセイも、フルモデルチェンジに踏み切る判断ができる程度に売れてくれれば、それで成功ではないか、と筆者は考える。おそらく、日産もホンダも、そのつもりではないだろうか。
そして、次期型エルグランド/次期型オデッセイで、王者アルファードに挑み、高級ミニバン界の勢力図を荒らしてくれることを、期待している。そうすれば、日本の高級ミニバン界はさらに昇華するだろう。
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