トヨタ、日産らが生み、愛し愛された「マイナー車」たちの長所と消えた理由7選

■トヨタWiLL Vi 2000〜2001年

WiLL Vi
WiLL Vi

◎よかったところ

 「WiLL」はトヨタ、花王、近畿日本ツーリストなどが連携した異業種合同プロジェクトで、若年層を対象に商品をそろえた。統一したロゴを設けてWiLLショップもオープンさせたが、成功しなかった。WiLL Viはビスタ店で販売している。

 車両のベースはヴィッツだが、独立したトランクスペースを備えたセダンになる。

 開発のテーマは「かぼちゃの馬車」で、リヤウインドーなどをそれらしい形状にしていた。インパネは食品のパンからイメージを膨らませた形状で可愛らしく、キャンバストップを選べることも特徴だった。

◎生産中止になった理由

 もともと長期間にわたって販売する予定はなかった。WiLLはシリーズ化され、Viの次はWiLL VS、WiLLサイファと続いたからだ。

 またボディの後部にトランクスペースを設けたから、後席の取り付け位置が前寄りで足元空間が狭く、4名で乗車すると窮屈だった。

 トランク容量も小さく、実用的にはクーペになる。エンジンは1.3Lでパワー不足は感じなかったが、運転感覚は少し腰高であった。

 いずれにしろ魅力が理解されず売れなかったが、今改めて眺めると、SUVに似ている印象も受ける。時期尚早の商品だったかも知れない。

■マツダMSー8 1992〜1997年

MS-8
MS-8

◎よかったところ

 マツダは好景気に乗り、1990年前後に販売系列を大幅に充実させた。従来からのマツダとフォード(オートラマ)に、ユーノス/アンフィニ/オートザムを加えている。

 この多系列販売戦略の中で生まれた姉妹車のひとつがアンフィニMS-8であった。マツダクロノス、フォードテルスター、ユーノス500、オートザムクレフと基本部分を共通化している。

 3ナンバーサイズの前輪駆動セダンで、ホイールベースが2610mmに達するから後席を含めて居住空間が広かった。

 またATレバーをインパネに装着して前席のシート幅と足元空間を広げるなど、セダンでありながら居住性を高める独自の工夫を施した。リラックスできる乗車感覚が特徴であった。

◎生産中止になった理由

 MS-8は多系列販売戦略の中で大量に開発された商品の中では優れていたが、販売戦略自体が失敗して売れ行きを低迷させた。もっと大切に売っていれば、セダンの主力商品になり、改良も受けて商品力をさらに高めただろう。

 特にリラックスできる内装のデザインには、20年以上を経過した今でも相応の魅力を感じる。失敗作で終わらせるのは惜しい商品であった。

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