【10年早かったクルマたち】今こそこういうクルマが欲しい! 絶版車 6選

■日産ティーダ 2004〜2012年

 日産ティーダは販売の好調な人気車だった。2004年に発売され、2007年12月の登録台数は、セダンのラティオを含めて3203台だ。発売から3年以上を経ていたから悪い数字ではない。

 商品も優れていた。全長が4205mm(当時)に収まるボディは、水平基調のデザインで視界が優れ、運転がしやすかった。

 その一方で外観の見栄えも良く、実用性と視覚的な好感度の両立は、工業デザインの真髄を突くものだった。同様に視界の良かった2代目マーチに通じるところがある。

 しかもコンパクトカーでは内外装が上質で、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)が2600mmに達するから後席の足元空間も広い。

 全高は1535mmだから、立体駐車場を利用しやすい範囲内で高く設定され、座面の高さもちょうど良く腰が落ち込まない。頭上にも余裕があり、総じて車内は、コンパクトカーとして非常に快適であった。

 それなのに2代目ティーダは日本では売られていない。世界戦略車の性格を強めて3ナンバー車になったことが国内廃止の理由と受け取られるが、今の日産(日本産業の略称だ)が日本を軽く見ている何よりの証拠だろう。

 ティーダを廃止した理由を日産に尋ねると「ノートのメダリストを上質にした」などと言い訳をするが、ノートはティーダの代用品にはなれない。

 それでもティーダのユーザーは、仕方なくノートe-POWERあたりを買う。大好きなティーダは消滅して愛車も古くなり、キューブも発売から9年を経過して安全装備などが乏しければ、選ぶのはノートしかないのだ。

 その気持ちも汲み取らず、日産は「e-POWERの追加でノートが絶好調」などと宣伝する。日産には「自分たちのお客様をもっとしっかり見ろ! 販売店の話もちゃんと聞け!」と言いたい。

■ホンダS2000 1999〜2009年

 S2000はホンダの創立50周年を記念する意味も含めて開発されたオープン2シータースポーツカーだ。ボディの底面にX型の骨格が配置され、オープンモデルでも剛性を高めた。

 エンジンは直列4気筒2Lで発売されたが、2005年の改良で2.2Lに拡大されている。VTECエンジンの搭載で最高出力は242馬力に達した。

 当時はマツダロードスターの3代目が販売され、これも2Lエンジンだが、最高出力は170馬力だ。価格も異なりロードスターRSは250万円、S2000は標準仕様が378万円に達する。

 S2000はボディ骨格からエンジンまで、2L、あるいは2.2Lの枠を超えた性能を発揮するので、馴染みやすいロードスターに対してプレミアム感覚が強かった。

 S2000のようなスポーツカーは、ホンダには欠かせない。今のホンダもスポーツモデルは用意するが、NSXは価格が2370万円と高く、しかも少量生産だから実質的に購入できない。

 2017年末時点では受注しておらず、メーカーのホームページはNSXを掲載しているが、販売会社では削除した。

 S660はボディがコンパクトで日本の使用環境に適したミッドシップスポーツカーだが、商品の性格がモーターサイクルに近く、実用性がきわめて乏しい。

 シビックタイプRは実用性と快適性の優れた高性能車だが、ミドルサイズの5ドアハッチバックだからスポーツカーとは違う。

 従って古くからホンダを知っている中高年齢層の世代は、S2000のような適度なサイズのスポーツカーが用意されていないと、同社の求心力が欠けているように感じてしまう。

 2007年12月におけるS2000の登録台数は122台だが、それで良いのだ。存在していることに大きな意味があり、イメージリーダーとは、そういうものだろう。

次ページは : ■ホンダクロスロード 2007〜2010年(OEM供給車除く)

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