■プリウスPHV GR SPORTってどんなクルマ?
皆さんすでにご承知かと思うけれど、いちおう解説しておきます。
まずベース車であるプリウスPHVは、2017年2月に発売開始した、現行トヨタ車唯一のプラグインハイブリッド量販車。50系(現行型)プリウスをベースにして搭載するリチウムイオン電池(駆動用)の容量を25Ahへ増やし、JC08モード燃費は(EV走行併用で)68.2kmというえげつない数値を持つ。
思い起こせば2017年1月2日、その時点ではまだ発売前だったプリウスPHVが箱根駅伝の先導車として登場した際には、一部のクルマ好き(本企画担当とか)は、「おおお、いいのかこれ!」と色めき立ったものでした。
さて、そのプリウスPHVをベースにした「GR SPORT」は、2017年9月に発表したほやほやの新型車。GR専用サスペンション、ブレース追加、専用メーター、専用シフトノブやアルミペダル、小径ステアリングホイールなどを装備したスポーツ仕様となる。
「走って気持ちいいかもしれないけど、これに5時間以上、審判長を乗せて走ったら、酔っちゃうんじゃないの?」
と思った読者諸兄も多いのではあるまいか。本企画担当はそう思いました。そこでこのプリウスPHVに長時間試乗した自動車ジャーナリスト鈴木直也氏に、「箱根で長時間乗っても酔いませんかね?」と聞いたところ、
「酔いません。いいセレクトだと思いますよ」とのコメントをいただいた。
■時代を象徴する「エコ」と「走りの楽しさ」の両立
以下、続けて鈴木直也氏のコメント。
「GR SPORTといっても、イメージほどにはスポーティでもないんですよ。トヨタは2017年9月にGRブランドの立ち上げを発表しましたが、そこで明確に“スポーツ度”の格付けみたいなものを公表しています。
スポーツチューニングの度合いが強い順番に、“GRMN”>“GR”>“GR SPORT”と並んでいて、GR SPORTはGRブランドのなかでも一番の入門編なんです。乗り心地はちょっと引き締まっているけれど、そこらへんをちょろちょろ走るくらいなら、普通のプリウスPHVと変わりませんね」
そこらへんをちょろょろ、ではなく箱根路を100km以上連続で走るんですけれど……。
「それでも慣れてる人ならまったく気にならないんじゃないですかね。それくらい、街乗りにも使えるライトなチューニングです。
それにしても時代を感じますよね。エコ一辺倒ではなく、これからは走る楽しさとの両立がトレンドだ、とトヨタは言いたいのでしょう。
2017年の東京モーターショーで日産は電気自動車リーフのNISMOバージョンを出品したけれど、それと同じ思想ですね。日産も来年あたり、リーフNISMOで箱根駅伝の先導車を獲る……ってくらいの気概を見せてほしいです」
■運行ドライバーは教習所の教官たち!?
さて、先導車の車種選びの時点でかなり興奮してこれまで2000字近く文字数を消費してしまったが、本企画のためにトヨタへ送った質問は、車種に関してだけではなかった。以下、駆け足で「そのほかの質問と回答」をご紹介します。
【Q.各大学の併走車の車種は何になりますでしょうか】
A.エスクァイア、ヴォクシー、ノアです。
→2017年7月にビッグマイチェンを実施した、トヨタの売れ筋ミニバン3兄弟が各大学の併走車(「運営管理車」と呼ばれる)として用意されているとのこと。各大学の監督がこれに乗って、選手に指示を飛ばすわけですね。
【Q.御社が今回提供する運営車両は総計何台になりますでしょうか】
A.36台。
→箱根駅伝の出場校は(学連選抜を含めて)21チーム。それ以外に15台も提供しているとは、ちょっと意外だった。「医務車」や「緊急対応車」、「荷物車」や「共同カメラ車」などもトヨタが提供しているそうです。
【Q.各車両を運転するドライバーは、どのような職種の方なのでしょうか】
A.「トヨタドライビングスクール(教習所)」の教官 です。
→これも今回の取材で驚いた内容。新車のチェックなどを担当するテストドライバーや契約レーシングドライバーなど、いろいろと候補があったでしょうが、その中で白羽の矢が立ったのは教習所の教官なのですね。
トヨタドライビングスクールといえば東京都立川市にある創立60年以上の名門教習所。そこの教官が箱根駅伝の運営車両を運転しているとは……。
選手たちを先導する白バイ隊員の人となりはテレビ等で紹介されることが多いが、運営車両のドライバーについても、あらためてぜひ取材してみたい。
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こんな、クルマ好きにも見所満載の箱根駅伝、第94回大会は、2018年1月2日午前8時スタート(テレビ中継は7時から)です。コタツでミカンを食べながら、楽しみに見ましょう。
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