エコ全盛期のこの時代に一歩も引かない殴り合い「FF最速」の座をめぐる熾烈な戦い

VWから新たな刺客がデビューした

ノーマルのゴルフGTIから+55psの300ps、+30Nmの400Nmを発揮する2L、直4ターボを搭載する
ノーマルのゴルフGTIから+55psの300ps、+30Nmの400Nmを発揮する2L、直4ターボを搭載する

 当面、決着が見えそうにないニュルFF最速決戦だが、その新たな動きは、地元ドイツから始まりそうだ。それがVWゴルフVIIIに追加された新型「ゴルフGTIクラブスポーツ」の存在だ。

 日本では、2021年早々に上陸が予定される新型ゴルフVIIIだが、すでにデビュー済みの欧州では着々とバリエーションを拡大中。

 最新作として、2020年10月14日(現地時間)、ゴルフGTIのフラッグシップモデルとなる「GTIクラブスポーツ」が発表された。

 ゴルフGTIクラブスポーツは、GTIのフラッグシップモデルとはいえ、豪華仕様を目的したものではない。GTIの高性能モデルであるうえ、ニュル北コースに最適化したドライビングモード機能まで備えていることが明言しているのだ。

 ゴルフGTIをベースに強化されたスタイリングは、フロントバンパーのエアダクトを拡大し、リアには2段式の大型テールスポイラーを備える。

 このあたりは、サーキットでの高速域での走行安定性を高めるべく、エアロダイナミクスの強化が狙いだろう。

 ゴルフGTIクラブスポーツのパワーユニットは、GTI同様の2Lの4気筒DOHCターボを搭載だが、チューンナップを実施。

 標準車(GTI)と比べ、最高出力が+55psの300ps、最大トルクが+30Nmの400Nmを発揮する。

 トランスミッションは、VWらしくDCTタイプの7速DSGを標準とするが、専用のギア比を採用しているようだ。

 ビークルダイナミクスマネージャーは、電子デフロック「XDS」とオプションのアダクティブシャシーコントロール「DCC」を統合制御することで走行性能を高めているが、新たに標準装備の機械式フロントアクスルロッキングディファレンシャルも制御に含めることで、よりダイレクトな操作フィールを実現しているという。

 このシステムに、注目のニュル北コース専用プロファイルが組み込まれる。このほかにも18インチのアロイホイール、専用ディフューザー、10mmダウンの専用サスペンション、スポーツエキゾーストなどが加えられることが明かされている。

今後三つ巴決戦はどうなるのか?

2020年12月現在、FF最速の座は2019年4月に7分40秒10を記録したメガーヌR.S.トロフィーR
2020年12月現在、FF最速の座は2019年4月に7分40秒10を記録したメガーヌR.S.トロフィーR
マイナーチェンジ版シビックタイプRのニュルブルクリンク北コースでのラップタイム計測はまだ行われていないが、鈴鹿サーキットでのラップタイムを見るかぎり、このマイナーチェンジ版シビックタイプRがFF最速の座を奪還するのは間違いないだろう
マイナーチェンジ版シビックタイプRのニュルブルクリンク北コースでのラップタイム計測はまだ行われていないが、鈴鹿サーキットでのラップタイムを見るかぎり、このマイナーチェンジ版シビックタイプRがFF最速の座を奪還するのは間違いないだろう


■FF最速の座をかけたニュルブルクリンク北コースのラップタイム変遷
●2014年6月:ルノーメガーヌR.S.トロフィー275R/7分54秒36
●2015年3月:先代ホンダシビックタイプR/7分50秒63
●2016年5月:VWゴルフGTIクラブスポーツS/7分49秒21
●2016年10月:VWゴルフGTIクラブスポーツS/7分47秒19
●2017年4月:ホンダシビックタイプR/7分43秒80
●2019年4月:ルノーメガーヌR.S.トロフィーR/7分40秒10(現在のFF最速タイム)

 伝統的に、ニュルのFF最速の地位を守ってきたメガーヌR.S.に、ターボ化で戦闘力を大幅に高めた4代目シビックタイプRが挑む形で盛り上がりをみせてきたFF頂上決戦だが、新型ゴルフGTIクラブスポーツが参戦することで、自動車大国3国によるプライドバトルへと発展し、多くの自動車ファンを楽しませてきた。

 もちろんゴルフもニュルFF最速の称号を手にしており、日本未導入の限定車「ゴルフ7GTIクラブスポーツS」で、2016年5月に、7分49秒21の当時の新記録を樹立し、4代目シビックタイプRの記録を塗り替えた。

 さらに同年10月に再アタックを実施し、7分47秒19まで記録を更新。次点となるタイプRとの差を拡大していた。

 それを現行型シビックタイプRが、2017年4月に7分43秒80を叩き出しFF最速王座を奪還。

 もちろん、王者メガーヌR.S.が指をくわえて見ているわけもなく、そのプライドを掛けた2019年4月5日のアタックで、7分40秒10を記録し、見事頂点に返り咲いている。

 コロナ禍の今、バトルの行方は見通せないが、ニュルスペシャルを掲げる地元のVWが次なるアタッカーとなることは間違いなく、その結果が待ち望まれる。

 2019年4月のメガーヌR.S.トロフィーRの結果を踏まえて、ニュルブルクリンクドライブモード導入のゴルフGTIクラブスポーツを発表しただけに、VWは、その記録を塗り替える自信があるのだろう。

 後は、我らのシビックタイプRが、ニュルで再び王者に返り咲く日を楽しみに待つことにしよう。

※ベストカーwebでは、次期シビックタイプRは2Lターボ+ツインモーターの4WDで2022年に登場すると予想。その記事はこちら!


■市販車ニュルブルクリンク北コースラップタイムTOP10 2020年版
1位:メルセデスAMG GTブラックシリーズ/6分43秒616(2020)
2位:ランボルギーニ・アヴェンタドールSVJ/6分44秒97(2018)
3位:ポルシェ911GT2 RS/6分47秒3(2017)
4位:Next EV NIO EP9/6分45秒90(2018)
5位:ラディカルSR8LM/6分48秒00(2009)
6位:ランボルギーニ・ウラカン・ペルフォルマンテ/6分52秒01(2017)
7位:ラディカルSR8/6分56秒08(2005)
8位:ポルシェ911GT3 RS/6分56秒4(2018)
9位:ポルシェ918スパイダー/6分57秒00(2013)
10位:ランボルギーニ・アヴェンタドールSV/6分59秒73(2015)
※日産GT-R NISMOは7分08秒92(2017)で15位。FF最速のルノーメガーヌR.S.トロフィーRは7分40秒10(2019)で90位。ホンダシビックタイプRは7分43秒80(2017)で94位

【画像ギャラリー】FF最速を狙う三つ巴決戦! シビックタイプR対メガーヌR.S.対ゴルフGTIクラブスポーツの雄姿

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