盗難されたあとは「バラバラに」
盗難されたクルマは、国内で発見されることも稀にありますが、「行方不明」となってしまうことがほとんど。クルマは盗難されたあと、解体され、海外に「パーツ」として輸出されていくことが多いようです。盗難車をそのまま海外へ持ち込むことはほぼ不可能。車両輸出には、各国の税関による厳しいチェックが入ります。
筆者も仕事で、ROTO船による海外輸送の手配をしたことがありますが、海外の法規に適合しているか、安全性は管理できているか等、申請書類のチェックが厳しく、苦労しました。しかし、「自動車パーツ」となれば、輸送に関する申請のハードルがぐっと下がります。
また、輸送形態の点からも、パーツにすることで、効率があがります。一般的にクルマの輸出は、ROTO船(Roll on Roll Off)という自動車の自走積載・自走陸揚げができる自動車運搬船か、40フィートハイキューブ(長さ12.192m×幅2.438m×高さ2.896m四方の箱)というドライコンテナに複数台を押し込めて送る、という方法で行われます。
このドライコンテナは、マイクロバスだと1台、ランクルクラスだと2台、という大きさ。盗難車を自走積載・陸揚げで輸送するわけにいきませんし、コンテナに詰めるにしても、パーツにしたほうが、輸送効率が上がる、というわけです。
このように、日本で盗難されたクルマのパーツが、海外へと持ち込まれる理由には、日本車のパーツが、海外で需要が高い、ということがあるようです。
耐久性が高く、信頼性も高い日本車は、中古車であっても海外市場で人気があり、例えば、日本から地理的に近いロシアには、2019年11月からの1年間で、約12万台もの中古車が正規ルートで輸出されています。それ以外にも、チリやケニア、ニュージーランドなど、毎月10万台程度が日本から輸出されています。
盗難されバラバラとなったクルマのパーツは、現地で、これら日本の中古車の「修理部品」として需要があるのです。
クルマに挟まれるチラシには要注意!!
パーツとして販売されるほかにも、なかには、パーツとして海外へ輸出されたあと、現地で組み立てられ「中古車」として販売されることもあるようです。
駐車中のクルマのワイパーに「車を高く買い取ります」のチラシが挟まっていたら、確認後、取り除くようにしましょう。そのチラシが取り除かれるまでに何日かかるかを見て、狙いを定めている窃盗団があるようです。
(編集部注/上記のようなケースもありますが、世の中には「クルマの処分手段がわからない」、「お金がかかるのは困る」と考えて、公共の場に長期放置する人も多く、そうした人たちにとって、たとえば無料引き取り業者のチラシや名刺の挟み込みは重要な伝達手段のひとつである、ということも合わせてお知らせしておきます。クルマの不法投棄は社会問題化しており、引き取り店によるチラシや名刺の挟み込みは(そうした事態への)セーフティネットのひとつにもなっています。クルマにチラシや名刺が挟まっていた場合、まずは「確認」をしてから対応しましょう)
冒頭に紹介したようなクルマを所有されているかたはもちろんのこと、それ以外のクルマを所有されている方も、油断は禁物です。
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