「未曾有(みぞう)」という言葉がある。調べてみると、「これまで一度たりとも起きなかったような、極めて稀な事態」という意味合いだ。
2010年代(2011年から2020年の10年間)の日本と世界は、個人的な感触にとどまるものなのかもしれないが、未曾有の事態の連続であったように思う。
東日本大震災と原発事故に始まり、相次ぐ異常気象とそれらがもたらす被害、GAFAMの台頭、パンデミック、そしてCASE。「まったなし」で世界情勢が動き続け、自動車業界もまた否応なしにその波に巻き込まれ続けた10年であったと言えるし、今なおその事態は進行中だ。
1990年代、2000年代、2010年代と、日本のクルマの歴史を10年一区切りで回顧し、節目に現れた「金字塔」なるクルマたちを選出してきた本企画。最後は2010年代の10年に現れた日本の「金字塔」モデルを振り返る。
自動車ジャーナリストの皆さんに、2010年代における「全般的に、金字塔を打ち立てた3車種」「技術的にエポックメイキングだったクルマ」「デザイン」「実用度」「走り(走行性能)」「構成」「世界に影響を与えたモデル」、それぞれ分野ごとの「金字塔」モデルを選出してもらった。
※本稿は2021年1月のものです
文/国沢光宏、片岡英明、渡辺陽一郎、清水草一、写真/ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2021年2月10日号
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■2010年代を象徴する金字塔車
21世紀は地球にやさしいクルマが望まれる時代だが、プリウス以上の衝撃をもって迎えられたのがトヨタの次世代環境車として2014年12月に登場したトヨタのMIRAIだ。
世界で初めて発売された量産FCV(燃料電池車)で、タンク内の水素と空気中の酸素を化学反応させて発電し、走行する。
排出するのは水だけという究極のエコカーだ。普及するのはもう少し先になるだろうが、期待のホープだ。
電気自動車の認知度を高め、身近な存在にしたのは日産リーフだ。
日本だけでなく海外でも販売され、好評を博している。
走行中にCO2を出さないし、静かで速いのも驚きだった。第2世代では航続距離を大きく伸ばし、運転支援システムも充実する。
i-MiEVで培ってきたEV技術とランエボの4輪制御技術を駆使して開発され、送り出されたプラグインハイブリッド車のアウトランダーPHEVも画期的なSUVだ。運転するのが楽しい。
(選定:片岡英明)
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