あの「頭文字D」アーケードゲームの最新版「頭文字(イニシャル)D THE ARCADE」が、全国のゲームセンター、ショッピングセンターなどで、2021年2月25日より稼働開始しているのをご存じだろうか。
前作の「頭文字D ARCADE STAGE Zero(ゼロ)」から4年がたち、大幅に進化した今回の新作では、より「頭文字D」の世界観を感じられる効果も採用されている。
そして、ストーリーモードでは、従来のゲームの流れとはまったく異なる、新たなストーリーも。大の「頭文字D」ファンの筆者としては、「これは体験しておかねば」ということで、今回、セガの開発担当者である「新井P」の元へ突入し、徹底取材を行った。
文/吉川賢一、写真・動画/西尾タクト
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■あの頃のパッションを思い起こせ!!
前作となる「頭文字D Zero」は、劇場版のアニメを原作としていたが、今作は漫画を元にして、新たに作りなおしたという。しげの秀一先生監修のもと、どこまで漫画の世界観を再現できるか、にチャレンジしたそうだ。
新要素として、原作を読んだ方ならばお馴染みの擬音「ギャン!!」 「ギャー!!」 「ガコッ!!(溝にタイヤを落とした音)」などを、プレイ中に表示する機能を盛り込んだ。
他車と競い合うシーンで、ブレーキングをしたり、コーナーにハイスピードで突っ込めば、タイヤのスキール音(を表す効果音)と共に、「ギャアアー」という文字の演出が入るのだ。
原作を楽しんだ方にとって嬉しい演出であるのと同時に、原作を知らない方であっても、マンガで使われている「効果」がゲームに登場する、というのは新鮮であろう。
そして、頭文字Dの名物でもあるユーロビートも、今回新たにつくり直したそうだ。オープニング曲は、元moveのラッパーMotsu氏による新曲。「令和の時代にゴリゴリのユーロビートで楽しんでほしい」というメッセージも込められているそうだ。
新曲だが古臭いノリのユーロビートをもってくる、セガの心意気に感動した。
■仕掛人は生粋のカーガイ「新井P」
今回の「頭文字D THE ARCADE」を総指揮したのは、「新井P」こと、セガの新井健二プロデューサーだ。
伝説のゲーム「セガラリー2」の開発にも携わってきた「新井P」は、取材で三菱を訪問した際にきいた、AYC(アクティブヨーコントロール)の技術の話に影響を受け、即座に新車のエボ6を買っちゃうくらいのクルマ好きだ(グループAラリーが大好物だという)。
自らを「老害クルマ好き」と嬉しそうに語るその姿からは、クルマへの熱い思いが溢れ出していた。
彼が語ったのは、「ゲームはごっこ遊びがあってもよい」ということだ。リアリティを追求すると、良くも悪くもどこのゲームか分からなくなる。今作は、リアルさでは他ゲームに勝ててはいないが、その半面、「頭文字D」らしさはひと目で伝わってくる。
また、誰にでもわかりやすく楽しめるように、例えば、FFやFR、MR、4WDといった味付けは古典的なセッティングとし、さらに誇張して表現したそう。
ちなみに、今作の開発メンバーの中には、もともと頭文字Dのゲームファンで、そこからクルマが好きになり、ここにバイトで入って、今では一緒に働いている若者もいるそう。
開発メンバーは、プランナー、デザイナー、プログラマー、サウンドデザイナー、そしてプロデューサーの総勢20数名。家庭用ゲームだと100人以上の規模になるが、アーケードゲームは少数精鋭だ。
ストーリーモードでは、これまでとは全く異なる新たなストーリーが用意されている。
ユーザーが藤原拓海(主人公)になり、名バトルを追いかけるストーリーではなく、1巻が始まる少し前のころが舞台となる。「もしそこに、自分が入っていたらどうなるのか?」という「ifのストーリー」がスタートだ。
「ストーリーが進むと、拓海に出会うことになる。その時に、自分が拓海にボコボコにやられるのを、楽しみにしてほしい。」というのが、開発チームが仕込んだ楽しみかただ。
原作ファンとしては、拓海にと対戦できるのは、かなり熱い。「ボコボコにされてなるものか」と意欲を掻き立てられる。この発想には脱帽だ。
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