■仕掛人は生粋のカーガイ「新井P」
今回の「頭文字D THE ARCADE」を総指揮したのは、「新井P」こと、セガの新井健二プロデューサーだ。
伝説のゲーム「セガラリー2」の開発にも携わってきた「新井P」は、取材で三菱を訪問した際にきいた、AYC(アクティブヨーコントロール)の技術の話に影響を受け、即座に新車のエボ6を買っちゃうくらいのクルマ好きだ(グループAラリーが大好物だという)。
自らを「老害クルマ好き」と嬉しそうに語るその姿からは、クルマへの熱い思いが溢れ出していた。
彼が語ったのは、「ゲームはごっこ遊びがあってもよい」ということだ。リアリティを追求すると、良くも悪くもどこのゲームか分からなくなる。今作は、リアルさでは他ゲームに勝ててはいないが、その半面、「頭文字D」らしさはひと目で伝わってくる。
また、誰にでもわかりやすく楽しめるように、例えば、FFやFR、MR、4WDといった味付けは古典的なセッティングとし、さらに誇張して表現したそう。
ちなみに、今作の開発メンバーの中には、もともと頭文字Dのゲームファンで、そこからクルマが好きになり、ここにバイトで入って、今では一緒に働いている若者もいるそう。
開発メンバーは、プランナー、デザイナー、プログラマー、サウンドデザイナー、そしてプロデューサーの総勢20数名。家庭用ゲームだと100人以上の規模になるが、アーケードゲームは少数精鋭だ。
ストーリーモードでは、これまでとは全く異なる新たなストーリーが用意されている。
ユーザーが藤原拓海(主人公)になり、名バトルを追いかけるストーリーではなく、1巻が始まる少し前のころが舞台となる。「もしそこに、自分が入っていたらどうなるのか?」という「ifのストーリー」がスタートだ。
「ストーリーが進むと、拓海に出会うことになる。その時に、自分が拓海にボコボコにやられるのを、楽しみにしてほしい。」というのが、開発チームが仕込んだ楽しみかただ。
原作ファンとしては、拓海にと対戦できるのは、かなり熱い。「ボコボコにされてなるものか」と意欲を掻き立てられる。この発想には脱帽だ。
■あえての「店内4名対戦プレイ」
また、店内4人対戦を新たに導入したことも、今作のポイントだ。
店内4人対戦プレイのレースゲームは決してめずらしくないが、頭文字Dでは初めて。頭文字Dのゲームで、オンライン対戦を始めたのは2007年。当時は、家庭の回線は細く、ゲームセンターにいく価値があったが、いまは高速通信対戦が当たり前の時代。
しかし、そういった時代だからこそ、ゲームセンターで、顔を合わせて対戦する楽しみの価値を提案したかった、と新井Pはいう。
実は、「頭文字Dで4人対戦はあり得ない」、「原作と違う」といった意見もあったそうだ。しかし、それ以上に肯定的な意見が多数あったそうで、実際に、「2月25日に稼働開始して、今のところ反響は絶好調」とのことだ。
ユーザーには、原作である漫画を読んでいた40~50代のおじさま方の他に、ゲームで頭文字Dを知った若者たちも結構いるそうだ。頭文字Dがもともと漫画だったことを知らずに、「セガの新キャラクタか?」と言う人もいたらしい。
「そうした若い世代からも支持されることは大変光栄。ぜひ、消毒・換気を徹底している、いまのゲームセンターで、プレイしていただきたい(新井P)」とのことだ。
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