■ヴェゼルの大ヒットはフィットの売れ行き不振に関係あるのか?
2021年4月に発売された新型ヴェゼルもフィットに影響を与えた。フィットの最上級に位置するe:HEVリュクスの価格は、ヴェゼルのベーシックグレードになるe:HEV Xに近い。
そしてヴェゼルは販売が好調で、e:HEV PLaYの納期は、2022年(来年)の6月頃にズレ込む。ほかのグレードも2021年の末だから、ヴェゼルの人気はとても高い。
そうなるとフィットは一層埋もれそうだ。販売店では「登録できないと入金も生じない。ヴェゼルの登録と支払いは当分先で、フィットは低迷しているから、販売会社としても経営的に辛い」と漏らす。
■並みいるライバルに対抗するには、フィットの良さを再認識する「推し」の強化では!?
今後、フィットの売れ行きを回復するためにホンダが行うべき対策は、大きく分けて3つある。
1つ目はフロントマスクの変更だ。デザインは見る人によって評価が異なるが、「売れる顔立ちと売れない顔立ち」の違いはある。
フィットのヘッドランプを大きくデザインしてグリルが薄い顔立ちは、国内市場では好まれにくい。いわゆる爬虫類顔は、販売面では厳しいところがある。
2つ目はフィットクロスターの有効活用だ。クロスターは全幅が1725mmと若干ワイドな3ナンバー車で、外観がSUV風だからグリルも一般的な形状だ。扁平率が60%の16インチタイヤにより、乗り心地もフィットのなかでは最も優れている。
つまりSUV風のクロスターは流行に沿った仕様なのに、先ごろフィットに設定した20周年特別仕様車でも、クロスターを取りあげていない。新鮮味があって売れ行きを伸ばせるグレードだから、もう少しクロスターを積極的にアピールすべきだ。
3つ目はフィットの基本的なメリットが十分に発信されていないこと。フィットは初代モデルから燃料タンクを前席の下に搭載して、広い室内を備えた。この特徴は今も変わらず、フィットの後席と荷室は、ヤリスやノートに比べて明らかに広い。
したがって後席と荷室を積極的に使うファミリーユーザーにとって、フィットはヤリスやノートに比べて買い得だ。
それなのにフィットのCMなどでは、e:HEVのメカニズムを訴求しながら、後席の広さや荷室の優れた使い勝手については訴求されていない。こういったフィットの特徴は、クルマ好きの間では常識だが、コンパクトカーの購買層には知らない人も多い。常に発信していく必要がある。
フィットは商品力が高く、価格は機能や装備の割に安い。e:HEVの価格も、ホーム同士で比べると、1.3L、NAエンジンに比べて約35万円の上乗せに抑えた。
e:HEVでは装備も上級化するから、ハイブリッドの正味価格は約32万円で、税額の違いまで含めると実質差額は30万円に縮まる。
このようなe:HEVを中心にした価格の割安感も含めて、フィットには実用的なメリットが多い。コンパクトカーを買う時には、ヤリスやノートと併せて、フィットも検討してみたい。
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