【初代タイプR、スカイライン…】300万円未満で買えた本格派国産車 5選

【初代タイプR、スカイライン…】300万円未満で買えた本格派国産車 5選

昔の車は安かった、そう言われるようになって久しい。

たしかに、現在でいえば「ちょっと高めの軽自動車」ほどの199万円という価格で初代シビックタイプRが買えるなど、1990年代から2000年代前半頃までの日本車には、誰もが少し背伸びをすれば手の届く価格に、個性的な本格派モデルが数多く存在していた。

日本車の真骨頂といえば「高性能だけど割安」なこと。これから紹介するモデルたちは、まさにそんな日本車らしさを象徴し、今改めて見ても「こんなのあったらそりゃ買うわ!」と言わしめる優れモノばかりだ。

文:松田秀士
写真:HONDA、編集部、NISSAN、SUBARU、MITSUBISHI


200万円切りの衝撃! 初代シビックタイプR

初代シビックタイプR/199万8000円(1997年発売)/全長×全幅×全高:4180×1695×1360mm、車重:1070kg、エンジン:1.6L直4DOHC、最高出力:185ps/8200rpm、最大トルク:16.3kgm/7500rpm

始まりは初代シビックタイプR/199万8000円。安い! そういう値段だったんだ! と今、改めて感心する。1997年に発売された6代目シビック(EK9型)がベース。

185psのVTECエンジンは8200回転でそのマックスパワーを発生。いったいどこまで回るの? というくらいに高回転エンジン。VTECだから低回転域のカムと高回転域のカムを切り替えていて、その切り替わる周辺の回転域にトルクの谷間があったけれど、まぁとにかく9000回転あたりまで気持ちよく回せる。

今から思い起こせば、トップエンドまで回すと壊れそうなメカノイズだったけれども、それがまたエキセントリックでアドレナリンを分泌させた。

5速MTがセットで、車体も軽量化していてハンドリングは軽快。ちょっとお尻が軽く、タックインでリアをスライドさせてターンインして操舵角を減らし、コーナーの頂点からは全開で立ち上がる。FFでフロントが重いから、加速時の後ろ荷重でもしっかりとフロントタイヤにトラクションが発生する。

当時、スポーツモデルといえばまだFRがイニシアティブを持っていたけれど、FRは野性的勘で走らせる車、しかしFFは脳で考えて走らせる車だということをはっきり教えてくれた1台だった。

200万円台前半だった直6ターボのスカイライン

R32型スカイライン GTS-tタイプM/234万円(1989年発売仕様)/全長×全幅×全高:4580×1695×1340mm、車重:1290kg、エンジン:2L直6DOHCターボ、最高出力:215ps/6400rpm、最大トルク:27.0kgm/3200rpm ※価格は4ドア、5MT車

続いてR32スカイラインGTS-tタイプM。おお! スカGだよ! GT-Rじゃないけどさ、でもターボ付きスカイラインが234万円で手に入ったんだよ。信じられるか! 今売られていたら絶対に買います。

GT-Rのように敷居が高くなく、しかし充分以上なパワーとトルク。FRの醍醐味を全てこの1台で堪能することができるモデルだ。

エンジンは2.0Lの直6ターボ。最高出力は215ps/6400rpmで、最大トルク264.8Nm/3200rpm。このパワー&トルクは発生回転域も中速でちょうど良く、今でも充分に扱いやすく通用する。しかも車体重量は1290㎏と軽い!

全幅1695mmで5ナンバー。それでいてサスペンションは前後ともにマルチリンク式です。トランスミッションは5速MTでLSDは標準装備。

この車が全盛だったころ、筆者は全日本F3000選手権やグループC、グループAと3カテゴリーに出場していてとても忙しかったけれど、よくタイヤメーカーのドライビングスクールの講師に呼ばれ、スクールカーに使われていたGTS-tタイプMのステアリングをよく握ったもの。

とにかくアクセルを踏み込むと簡単にお尻が流れる。もうドリフトのオンパレードだった。タイヤメーカーのスクールだから、タイヤ減っても気にしない気にしない! という感じ。本当に印象に残る車でね、ボクはGT-R(R32)より好きだったね。

GT-Rは筑波の最終コーナーでアンダーステアが強かったけれども、GTS-tはまったく逆。アクセル踏む勇気さえあれば、後先考えずどんどん曲がってくれる。ドライバー次第でどんなコーナリングもこなせる素晴らしいモデルだった。本当に現代風の装備にしてもう一度販売してほしいモデルだね。

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