【初代タイプR、スカイライン…】300万円未満で買えた本格派国産車 5選

ハイスペックでも300万円切りのWRX STi

2代目インプレッサ WRX STi/289万5000円(2001年発売仕様)/全長×全幅×全高:4405×1730×1435mm、車重:1430kg、エンジン:2L水平対向4気筒DOHCターボ、最高出力:280ps/6400rpm、最大トルク:38.0kgm/4000rpm ※価格は2001年仕様

次にインプレッサWRX STIも外せないモデル。

GDB型の初期モデルはエキゾーストマニホールドが非等長だったので、いわゆるボクサーサウンドと呼ばれる独特の排気音! これがスバリストの心を掴んでいた。

排気音は車の呼吸のようなものだから、排気音を聴いただけでどの車かがわかるというマニアも居たりして、そう車に個性があった。WRX STIは現在と同じ縦置きエンジンで左右が対称のシンメトリカルAWD。

ドライブシャフトの長さが前後とも左右対称なので、トルク伝達に左右差がなく安定した駆動が行える。6速MTはクイックなシフトストロークだが、上手に速くシフトするにはコツが必要。

でも、そこをうまく乗りこなしてこそスバリスト。ハードルは低すぎないが、AWDによって抜群のコーナリング性能を持っていたモデル。しかも、現行WRX STIへと繋がるDNAを確実に感じられるモデルだ。このハイスペックでも289万5000円で手に入ったのだ。

孤高のロータリー車も200万円台で買えた!

RX-8 タイプS/275万円(2003年発売仕様)/全長×全幅×全高:4435×1770×1340mm、車重:1310kg、エンジン:654cc×2ロータリー、最高出力:250ps/8500rpm、最大トルク:22.0kgm/5500rpm ※写真は後期型「タイプS」

ロータリーエンジンも忘れてはならない。RX-8 タイプSだ。この車は発表前にインプレッションを九州のオートポリスで行った。あの時の久々に聴くロータリーサウンドは忘れられない。

タイプSは6ポートのロータリーエンジンを搭載していて、ターボは付いていない自然吸気で9000回転まで気持ちよく回る。パワーは250ps/8500rpmと高回転型。トルクは22.0kgm/5500rpmで車重は1350kg。

個性的なのは4ドアのリアドアが観音開きと呼ばれる前から後ろに開くモデル。しかも、Bピラーが後ドアに内蔵されているので、前後ドアを開けると大きな開口部が現われること。

また、後ドアは前ドアを開いてからでないと開閉ができない構造になっている。ロータリーエンジンは、まるで電気モーターのように低回転から高回転までよく回り振動感がない。しかもコンパクトで低重心なのでコーナリングも良い。だから低くスタイリッシュなフロントデザインが可能になるのだ。

ハンドリングはとにかくスムーズで200psオーバーのじゃじゃ馬感はなく、大人のハンドリングが味わえる1台だ。275万円で手に入ったあの時代が懐かしい。

三菱謹製4WDターボも300万円未満で充実の中身

ギャラン VR-4/285万5000円(1990年発売仕様)/全長×全幅×全高:4560×1695×1440mm、車重:1410kg、エンジン:2L直4ターボDOHC、最高出力:240ps/6000rpm、最大トルク:31.0kgm/3500rpm

最後にもう1台、軽く紹介しよう。それは三菱のギャラン VR4だ。いわゆるエボのルーツともいえるモデル。

2.0L直4ターボは最終的に240psまでパワーが上げられた。パワーもさることながら、FFベースの4WDでフロントがとてもヘビー。なのにその重さを感じさせない4WDのハンドリングは素晴らしく、WRCのグループAでも活躍した。

四駆なのにどうしてこんなに良く曲がるのか? しかもFFベースなのに? と。正直、この頃のモデルだけに粗削りなところもあるハンドリングだったけれども、ドライバーがそれほど運転技術を駆使しなくても直球勝負で速く走らせることができるモデルだった。

三菱技術陣の開発姿勢が真面目だったからだね。285万5000円と300万円ギリギリの車両価格は、この車の装備を見ればかなりのバーゲン価格であることが理解できる。

◆  ◆  ◆

 「国民生活基礎調査」によると、初代シビックタイプRが発売された1997年に657.7万円だった世帯当たりの平均所得は、最新の2016年時点で560.2万円とむしろ下がっている。

所得が上がらない一方、車の値段は上がり続けているとなれば、販売台数の低下は避けられず、市場の価値が下がり、魅力的なモデルも投入されなくなり……と、負のスパイラルが進むことになる。

たしかに、車の走行性能や安全性能は格段に進歩しているし、それに伴って価格を上げざるを得ない事情もわかる。ただ、国産メーカーの力をもってすれば、安価で楽しい車を生み出すことは不可能ではないはず。ここで紹介した車が、国産メーカーの高い技術力と創意工夫の力を示す何よりの証拠なのだから。

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