■究極のエコカーの性能は後世に受け継がれる
乗車定員を2名と割り切ったところにも燃費へのこだわりを感じさせる。
プリウスが普通に5名乗車できることを鑑みると、そこまでする!? と揶揄されることもあったが、徹底した軽量化と空力処理を実施したことや、IMAシステムを搭載して究極の燃費性能を達成したことを鑑みると、乗車定員を増やすといった燃費を悪化させる要因をあえて加えることはナンセンスという考えに至るのは至極当然のことかもしれない。
普通のクルマなら、乗員が車内で心地よく過ごすために配慮する機能や装備をアピールするのが通例だが、初代インサイトの資料には、そうした記載はいっさい見当たらない。
革新的だったが実験車というイメージは拭えず、さらに日常の使い勝手を度外視した結果、総生産台数は約7年間で2万台弱。国内では2000台強しか販売されなかったと言われている。
おそらく相当な開発コストがかけられたはずだが、販売が振るわなかったためそれが回収されることはなかったことだろう。しかし、インサイトの開発で培った技術は後に登場する2代目、さらにはその後のホンダ車に継承されることになる。
国内基準で35km/L、欧州では3.4L/100kmという低燃費とCO2排出量で1km走行当たり80gというディーゼル車を含めても世界一少ないCO2排出レベルを達成。ホンダ開発陣の意地とプライドが成し得たインサイトの燃費・環境性能は、ドヤ顔で「どうだ! プリウス!!」と誇れるほどのものであったことは間違いない。
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