こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】 スズキX-90は時代を先取りし過ぎたクロスオーバー

■X-90を四半世紀前に登場させた驚くべきスズキの慧眼

 取りまわしがしやすく、スポーティなコンパクトモデルとして割り切って使うなら悪くない選択肢だが、クルマの作りや機能からジャンル分けをするならばクロカン4WDとなる。本来ならばベースのエスクードのように4WDの特徴を活かして、海や山を悠然と走るというのがX-90の正しい使い方と言えるだろう。その点ではユーザーの期待に応えてくれるが、2シーターモデルゆえのデメリットが問題となる。

 独立したトランクスペースを備え、シートの後ろには狭いながらも小物を置けるスペースが用意されているものの、遊びの道具を積めるほどの積載力は有しておらず、クロカン4WDに求められる実用面での能力が低すぎた。これが、クロカン4WDモデルのなかからあえてX-90を選ぶ意義をかなり希薄にしたことは間違いないだろう。

悪路走行を想定したクルマづくりを優先した結果、スポーツカーとしての爽快感はやや希薄だった(写真は海外仕様)
悪路走行を想定したクルマづくりを優先した結果、スポーツカーとしての爽快感はやや希薄だった(写真は海外仕様)

 先見の明があったかと問われると甚だ疑問であるが、今から20年以上も前、自動車界にクロスオーバーという言葉すらなかった時代に、ホンダ CR-Vやトヨタ RAV4といった、後にクロスオーバーの先駆けとなるモデルに先んじて、世に送り出したことには敬意を表する。

 かくしてX-90は、唯一無二のクロスオーバーモデルとして注目を集めたが、日本国内での総販売台数は1348台にとどまり、登場から3年3カ月後の1999年1月末をもって販売終了となる。

 時は流れ、クロスオーバーSUVが市場で確たる地位を築いた現状を鑑みると、X-90が復活したならば、市場でそれなりに受け入れられる可能性は高いし、おそらく1990年代当時よりも注目されるはずだ。

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