こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】 世界最小のスーパーカーとして歴史に名を刻んだAZ-1

■国産車史上に名を残す伝説のクルマ

 車両コンセプトやスタイルの特異性で発売当初こそ話題を集めたが、149万8000円という当時の軽自動車としてはかなり高額だったこと、ATの設定がなかったことや実用性が極めて低かったことに加え、「平成ABCトリオ」のなかで最後発だったこと、さらに不運にも発売時期がバブル崩壊の真っ只中であったことが影響して販売は低迷してしまう。

 生産期間こそ違えど、平成ABCトリオのビートが3万3892台、カプチーノが2万6583台という総生産台数を記録していながら、AZ-1は約3年間で生産されたのはわずか4409台にとどまった。

 しかし、生産台数が少ないことや軽自動車ベースのスーパーカーという特異性は、28年を経た現在の中古車市場におけるプレミアとなって、新車時価格を遥かに上まわる値付けがなされている。

スケルトンモノコックボディの採用によって、アウターパネルを取り換えることができたというが交換用パーツは販売されていない
スケルトンモノコックボディの採用によって、アウターパネルを取り換えることができたというが交換用パーツは販売されていない

 AZ-1はマツダの黒歴史のひとつである5チャネル戦略のなかで生まれた1台だが、マツダらしいチャレンジの賜物であり、日本がもっともエネルギッシュだった時代を象徴する存在である。

 スカイアクティブテクノロジーや魂動デザインといった現在のマツダが掲げているブランド表現にはまったく当てはまらなくても、国産車史上に残る伝説のクルマであることは間違いない。

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