21世紀に入りポルシェがカイエンを成功させてから幾年が経っただろうか。この間、プレミアムSUVマーケットは各社がしのぎを削る大激戦区にまで成長した。ここに挙げたメーカーたちがこのカテゴリーに関与するなど、10年前は大半の人が考えもしなかっただろう。
そしてこの後にはアストンマーティンやフェラーリまでもがSUV市場への参入を目論んでいるという。大半のメーカーにとっては初仕事となる、それらモデルのアウトラインを紹介しておこう。
文:渡辺敏史/写真:Rolls-Royce、Lamborghini、Bentley、Jaguar、Alfa Romeo、Maserati
ロールスロイスカリナン
日本デビュー:2018年6月
全長×全幅×全高:5340×2000×1835mm
エンジン:6748cc、V12DOHC 571ps/850Nm
価格:3894万5000円
ロールス・ロイスにとっては初の4WDでもあり、ハッチバックボディでもあり……と、初めて尽くしのカリナン。
車体構造はアルミスペースフレームで搭載エンジンは6.7L、V型12気筒ツインターボと、現行ファントムと同じアーキテクチャーを用いてSUV離れした成り立ちを実現している。
後席はオプションでセパレートタイプも選択が可能。その場合、荷室と客室を完全に仕切るガラスパーティションも装着されるなど、世界一の高級車とされるがゆえの世界観を貫いてもいる。
局地的な走破力を求めるお客さんは別途クロカンモデルをお求めになるので……的スタンスで悪路性能はほどほどレベルに収めつつ、その環境でさえ驚くべきの乗り心地や静粛性で他を圧する。
面倒くさい設定は一切なく、オフロードのボタンを押すだけで車高から駆動配分から全部が最適化。もちろんオンロードでの乗り心地はファントムに迫るほど……と、その優雅な振る舞いに他類はない。
ランボルギーニウルス
日本デビュー:2018年2月
全長×全幅×全高:5112×2016×1638mm
エンジン:3966cc、V8DOHCターボ 650ps/850Nm
価格:2816万2000円
ミリタリースペックのコンセプトモデルだったチーターをベースに、伝統の60度V12エンジンを押し込んだランボルギーニ初の4WDモデル、LM002を精神的なルーツとするウルスは、VWグループの一員としてその資産を最大限に活用しつつ、独自のテイストをしっかり盛り込んだスーパーSUVだ。
独自性はパフォーマンスに顕著に現れる。搭載する4L、V8ユニットはポルシェやベントレーも用いるものだが独自のチューニングが施され、そのパワーは650psとダントツ。
強烈なスタイリングとともに、巨大なマスを馬鹿力で動かすという毒々しさこそが圧倒的な個性であり魅力かと思いきや、オンロードでの洗練された乗り心地やコーナリング時のロードホールディングの確かさ、ロールコントロールの巧さといった、常識的長所も併せ持っている。
オフロードを走るランボなんて趣味の悪い冗談だと思っていたら、それさえそつなくこなしてしまう先入観破壊装置的1台。
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