日本車のファミリーフェイスの完成度はどんなものなのか?

トヨタ/キーンルック

 トヨタ車のラインナップは非常に幅広く、国内専用モデルも多いため、キーンルックを採用しているのは、まだごく一部のモデルに過ぎない。

 また、統一した顔ではなく「キーンな(鋭い)イメージ」という、制約のユルいコンセプト。そのぶん統一感は薄い。

 また、現状のキーンルックは、マークXやカローラスポーツなど、デザイン的に未熟で子供っぽい造形が多い。プリウスもキーンルックの一員だが、斬新すぎて日米市場で不評を買い、変更を余儀なくされた。

 現状のキーンルックは、まだ洗練度が足りないし、バラつきも大きい。

2012年デビューのオーリスから採用され始めたキーンルックは、紆余曲折を経て現在に至る。キーンとは鋭いという意味で、共通して鋭い形状のヘッドライトを採用している

清水草一の採点:40点

日産/Vモーショングリル

 2010年頃から、グリル内に控えめな「V」字型メッキを入れることで始まったが、当初は明らかに記号性が弱かった。

 そのため、現在は「V」が巨大化しつつあり、リーフのようにグリル全体を囲む形に。2017年には、「Vモーション2.0」を発表した。今後さらにV字が巨大化していきそうだ。

「Vモーション2.0」くらいまで巨大化すれば、かなりのアイデンティティを発揮できるが、大きくするにつれてVのメッキ部分が太くなり、大味になるという弱点もある。

 ヘタするとVモーショングリルそのものが、安物のシルシになってしまう懸念を抱かせる。

日産は国産メーカーでは共通イメージのグリルへのこだわりが強く、1990年代はウインググリルを採用。現在はVモーショングリルを積極採用中で、巨大化が顕著

清水草一の採点:50点

ホンダ/ソリッド・ウイング・フェース

 ホンダのファミリーフェイスは、やや釣り目の横長ヘッドライトを横長のグリルがつなぐという特徴の薄いもので、無難だが記号性は低く、デザイン的に優れているとも言えない。ただ、嫌われもしない。

 いっぽう、海外で展開しているアキュラブランドは、基本的にはホンダ顔と似たパターンながら、グリルを五角形に統一し、ヘッドライトとともに角をツンツンと尖った造形にすることで、印象を大幅に強めている。日本ではNSXとレジェンドがこれだ。

 しかしこのアキュラ顔、どれも幼児向けの変身戦隊ものレベルで、洗練とはウルトラ遠い。現状、世界最悪のファミリーフェイスではないだろうか。

シャープで横長のヘッドライトを装着するのが最近のホンダ顔の特徴で、ミドルクラスセダンとして生まれ変わったインサイトも採用している。顔つきは精悍なイメージ
典型的なアキュラ顔のレジェンドはフロントマスクにさまざまなシャープなエッジが配されていて迫力満点で印象的だが、お世辞にも洗練されていると言い難い

清水草一の採点:60点(ホンダ顔)、10点(アキュラ顔)

マツダ/5ポイントグリル

 マツダはファミリーフェイスというよりも、「魂動」と名付けたフォルム全体の統一デザインを謳っている。目線は非常に高く、「生命感をカタチにする」、「クルマはアート」といった、高邁なキャッチフレーズを掲げている。

 顔に関しては、五角形のグリル(5ポイントグリル)が共通していて、一家であることがうっすらとわかるが、ディテールにはそれほど目立った共通の特徴はなく、作り込まれたフォルム全体の質感の高さで、マツダ車であることをアピールしている。

 また、スポーツカーのロードスターは、ほかのモデルとかなり顔つきが違うが、全体のたたずまいには、血のつながりを感じる。

 マツダのファミリーフェイスの印象は、決して強いとは言えないが、ファミリーフェイスには、どこか経営戦略的な生臭さも漂うもの。マツダは、そういった目先の利益よりも先を目指している姿勢がうかがえる。

マツダ車の現在のデザインコンセプトは魂動で、各モデルのフロントマスクは五角形グリルが共通といた程度。作り込みの質感の高さでマツダ車であると認識させるのは凄い

清水草一の採点:90点

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