これまで日本にはたくさんのクルマが生まれては消えていった。そのなかには、「珍車」などと呼ばれ、現代でも面白おかしく語られているモデルもある。しかし、それらのクルマが試金石となったことで、数々の名車が生まれたと言っても過言ではない。
当連載では、これら「珍車」と呼ばれた伝説のクルマや技術などをピックアップし、その特徴を解説しつつ、日本の自動車文化を豊かにしてくれたことへの感謝と「愛」を語っていく。今回は、ホンダが生み出した新機軸のミニバン、エディックスについて紹介していこう。
文/フォッケウルフ、写真/ホンダ
■ミニバンクラスで確たる地位を確立したホンダ
“天才タマゴ”のキャッチフレーズで売り出した初代「エスティマ」は、多人数乗車モデルといえば商用車から派生したキャブオーバー型のワンボックスカー、という概念を変え、ワンボックス型の乗用車=ミニバンをマイカーにするというムーブが広まるきっかけとなった。
エスティマがヒットすると、各メーカーはこぞって追従し、1990年代中盤の自動車市場にはさまざまなミニバンが登場する。車種数の増加は市場における競争を活性化し、その結果ミニバンは急速にバリエーションが拡大されていく。
主流は現在と同じく箱型で背の高いモデルだが、5ナンバーサイズのコンパクトモデルや、全高を抑えてリアをヒンジドアにしたロールーフタイプ、高級サルーンのごとき豪華さを特徴とした大型モデルなどが次々に登場し、全盛期には優に30を超える車種が販売されていた。
そんなミニバンブームを牽引していたメーカーといえばホンダである。1994年10月に登場した初代オデッセイは、空間の使いやすさと心地よさというミニバンに必須の能力を抑えながら、セダンと同等の爽快な走りと快適な乗り心地の両立を図ることで、それまでの「箱型・スライドドア」が主流のミニバンとは一線を画し、ファミリーユーザー以外にもミニバンが選択肢になることを知らしめ、瞬く間に大人気車種へと成長した。
オデッセイ登場以降、ホンダは「ミニバンのメーカー」と揶揄されつつも、ステップワゴン、ストリーム、モビリオ、エリシオンといった独自性に溢れる大小さまざまなミニバンを生み出し、いずれも市場で多くのユーザーから支持されることになる。
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