■1ローターの発電用エンジンは「遠くで電気工事をやっている感じ……」
岡本:では、ぜひ試乗していきましょう。
―走行開始―
岡本:100%モーター駆動なので、走りは基本的にEVと同じです。ところで松重さん、ロータリーにまつわるエピソードは何かありますでしょうか?
松重:そういえば親父がかつてコスモに乗っていました。「ロータリーというのはなぁ、おにぎりの形をしたものが回って、高回転型で高出力なんだぞ。でも燃費がめちゃくちゃ悪いんだぞ」ってウンチクたれていましたね(笑)。
岡本:なんと、そんな過去が(笑)。コスモスポーツではなく、2代目のコスモAPですか?
松重:そうです。当時としては大柄なクーペです。そのロータリーが復活したというから、それは一大事だと思っていたんだけど、発電専用なんですよね?
岡本:おっしゃるとおりで、ロータリーは駆動力には直接関与しません。
松重:そこが残念だけど、バッテリーだけでどれぐらい走れるんですか?
岡本:最大で107kmです。どのようにエンジンをかけて充電するか、いろいろ任意で設定できるようになっているし、急速充電にも対応しています。
―エンジンが始動してー
松重:おっ、かかった! ……うーん音が、なんだか遠くで工事をやっているみたいな……。
岡本:さすが松重さん、表現がユニークです(笑)。
松重:アクセルを踏んでも、この音だとワクワクしないかな。
岡本:ファンからも、とにかくロータリーが帰ってきた!という歓迎の声もあれば、発電専用なので、ガッカリしたという声も小さくないようです。
松重:それにしても、マツダはロータリーの開発をずっと細々と続けていて、いざ作るぞとなったときに開発者を集結させて、このクルマを作り上げたということですよね。それはよくやったと思いますよ。
岡本:そうですよね。
松重:せっかくのロータリーが発電だけというのが残念だけど、ぜひさらなる発展版に期待したい。ロータリーの未来が気になります。
岡本:公開されている特許の資料に目を通してみると、マツダはさらにロータリーを活かしたいろいろなことを考えているようです。なかにはちゃんとロータリーを走るほう(駆動用)に使いそうなものもあるんですよ!
松重:それはますます気になります。
■マツダMX-30ロータリーEVの採点結果は?
―撮影拠点に戻ってー
岡本:さて、MX-30ロータリーEVの評価はいかがでしょう? 5点満点で採点していただきたいと思います。忖度なしでお願いします。
松重:3.5点です。マツダというメーカーはトヨタや日産に比べると会社の規模は小さいけど、非常にワクワクさせるクルマを次々と出してくるので、ニューモデルの情報があるたびに楽しみにしています。
今回のMX-30も、僕らが子供の頃からおなじみのロータリーエンジンが復活するというので楽しみにしていましたが、正直、期待したほどロータリーのありがたみが感じられなかったので、現時点ではこれぐらいでしょうか。今後の展開を楽しみにしたいと思います。
岡本:なるほど。ありがとうございました!
※ ※ ※ ※ ※
いかがだったでしょうか? 次回は日産アリアB9 e-4ORCE(6月21日19時公開)をお届けします。
【松重 豊 プロフィール】
俳優。1963年1月生まれ、福岡県出身。蜷川スタジオを経て、1992年、黒沢清監督『地獄の警備員』で映画デビュー。以降、舞台、ドラマ、映画と幅広く活躍。近年の主な出演作に、『ヒキタさん!ご懐妊ですよ』(細川徹監督)、『ツユクサ』(平山秀幸監督)、『青春 18×2 君へ続く道』 (藤井道人監督)など。ドラマでは、『孤独のグルメ』シリーズ(テレビ東京)、『きょうの猫村さん』(テレビ東京)、大河ドラマ『どうする家康』(NHK)など。また、エフエム横浜『深夜の音楽食堂』にてラジオパーソナリティも務め、雑誌クロワッサンで「たべるノヲト。」を連載中。2020年には自身初の書籍「空洞のなかみ」、2023年には枡野俊明さんとの共著「あなたの牛を追いなさい」を刊行する
【岡本幸一郎 プロフィール】
モータージャーナリスト 1968年5月生まれ。生まれは富山県滑川市だが、父の仕事の都合で幼少期を横浜の小机で過ごす。その頃に早くもクルマに目覚め、街を走るクルマの車名をすべて言い当てるほどのクルマ好き少年となる。学習院大学卒業後、自動車情報ビデオマガジンの制作や自動車専門誌の編集に携わったのちフリーランスへ。あらゆるカテゴリーを幅広く網羅し、ユーザー目線で情報発信することを身上としている。2024年5月現在、乗り継いだ愛車は26台。幼い男女二児の父。2004年より日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員、2008年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員となる
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