発売から月日が経っても輝くクルマもあれば、そこまで日数が経っていないのにパッとしなくなってしまうクルマも多いように思える。
それはスーパーカーなどでも同じのようだ。ホンダが満を持して登場させた2代目NSX(2016年発表)。国産随一のミドシップスーパーカーはどうにもその輝きを失いつつある。
ハイブリッドシステムもAWDの技術も一線級なのに対し、日本のみならず世界的な評価は決して高いとは言えない。
なぜ初代では世界が震えたNSXが2代目でこうなってしまったのでしょうか。NSXに足りなかったものとはいったい?
文:清水草一/写真:ベストカー編集部
■人気はないのに納車待ちが3年という不思議な存在
北米でホンダNSX(正確にはアキュラNSX)に、イエローのボディカラーが追加発表されたという。
スーパーカーなのに、いままでイエローがなかったのが不思議といえば不思議で、このイエロー、初代NSXでは5番目に人気のあったボディカラーだという。
いや、そもそもスーパーカーなのに、ボディカラーが8色しかなかったのが問題。それが9色になったところで大差はないとも言える。
たとえばポルシェ911は17色。フェラーリ488は25色もあり、目ン玉が飛び出るような追加料金を払えば、あらゆる特色のオーダーにも対応している。
思えば新型NSXは、エクステリアにスーパーカーらしくない部分が散見された。マイチェン前はフロントグリルにメッキが使われていたが、通常、スーパーカーにメッキが使われることはない。
メッキは基本的にラグジュアリー志向のもので、スポーツカーには似合わないからだ。イエローがなかったというのも、通常のラグジュアリーセダンっぽい感覚で作られたクルマだから? という気がしないでもない。
昨年のマイナーチェンジでフロントグリルのメッキはボディ同色に変更され、今回は北米でイエローが追加されたというのはつまり、NSXはスーパーカーのあり様を、発表後になって勉強しつつあるということだろうか。
正直なところ、新型NSXの人気は、世界的に低迷している。年間生産台数2000台、日本への割り当ては年間100台(?)と限られているため、現在も納車待ちは3年と言われているが、海外のオークションではすべて定価割れしている。
日本でも、走行距離がほんのわずかな個体が、2000万円を切っている。需要に供給が追い付かず、買いたくても買えない状態なら、こういうことにはならないはずだ。
我々の実感としても、新型NSX人気は、まったくと言っていいほど盛り上がっていない。NSXで走っていれば、珍しいがゆえに注目度は高いが、それだけ。いまごろになって「初めて見た!」という反応だ。
私の周囲にはスーパーカーファンが多数いるが、「新型NSXが欲しい」という人は、まだひとりもいない。人気はないのに納車待ち3年。実に不思議な存在だ。
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