表彰台に君が代が流れる。WRC第2戦、シーズン唯一のフルスノーラリーとなる「ラリー・スウェーデン」でトヨタが復帰2戦目にして初優勝を達成!!
初優勝の舞台裏を余すところなくお届けします。
文:WEBベストカー編集部/写真:TOYOTA、Red Bull
ヒュンダイ速し!! トヨタ・ラトバラも2位で好スタート
■デイ1〈SS数:1、SS距離:1.9km〉
初日は2台が同時にスタートするスーパーSSのみ。このSS1で、トヨタのラトバラは幸先よくトップを奪取。
2位は前戦モンテカルロで、終盤までトップを快走していたティエリー・ヌービル(ヒュンダイ)。その差は0.6秒と僅差で、王者オジェは5位、トヨタのユホ・ハンニネンは8位というポジションからラリーをスタートさせた。
■デイ2〈SS数:7、SS距離:145.65km〉
デイ2は、いよいよ本格的なラリーのスタート。
この2日目から傑出した速さを見せたのはヒュンダイのヌービルだった。ヌービルは、出だしのSS2でトップタイムをマークし、総合首位に浮上。その後も安定した速さを見せ、総合首位をキープした。
いっぽうトヨタのエース、ラトバラはデイ2終了時点で総合2位をキープしたものの、首位ヌービルとの差は28.1秒。
オジェは総合5位のままで、シトロエンのエース、クリス・ミークが総合4位。そして、トヨタのハンニネンはSS5で木にマシンをヒットさせ、デイリタイアに終わった。
■デイ3〈SS数:7、SS距離:125.38km〉
デイ3は、このラリーの勝敗を左右する重要な1日。そして、波乱の展開となった。
まずは、総合4位を走っていたシトロエンのミークが途中コースアウト。観客に助けられ、再スタートしたのの、8分以上の大幅ロスで後退してしまう。
対照的に首位のヌービルは快調に走行を続け、この日最後のSS15を前にして、2位ラトバラとの差を43.3秒にまで拡げる。
しかし、最後のSS15で、コースのタイヤバリアにヒットし、サスペンションを破損。2戦連続で優勝を目前にリタイアとなってしまった。
これで、トヨタのラトバラが総合首位に浮上。いよいよトヨタにとって久々の優勝が迫ってきたが、2位のオット・タナック(Mスポーツ)との差は3.8秒。オジェとの差も16.6秒と、痺れる展開で最終日に突入。
「いるべきポジションにいた」運だけではなく実力で勝利摑む
■デイ4〈SS数:3、SS距離:16.43km〉
最終日は、SSの数が少なく、距離も短い。トップ争いは僅差でまだ勝負はわからないものの、逆転は至難の業だ。
そんな思いからか、16.6秒差で首位ラトバラを追いかけるオジェは、この日最初のSS15、それも最初のコーナーで、まさかのスピン。これで優勝争いから脱落してしまった。
いっぽう、首位のラトバラはSS16とSS17の2本のステージで連続トップタイムをマーク。僅か3.8秒差でラトバラを追っていたタナックに対して、その差を20秒にまで拡げる。
そして、ついに最終SS18。優勝が懸かるラトバラは、自身に気合いを入れスタートすると、前戦モンテカルロ最終SSの慎重さとは裏腹に、“ラトバラスタイル”で豪快に攻める、攻める!
……そして、テールを豪快にスライドさせながらフィニッシュ。タイムは8分51秒1。トヨタにとって18年振りとなる“WRC優勝”が実現した歓喜の瞬間だった。
しかも、これはステージトップのタイム。ペースを抑えるどころか、オジェやヌービルといった強豪を上回るタイムで、優勝を決めてみせたのだ。
WRCの優勝は簡単なことではない。事実、ライバルが潰れた前戦も、2位止まりで優勝には手が届かなかった。
スウェーデンで速さを見せたのはヒュンダイのヌービルだったが、ラトバラは、その背後にきちんと付け、“いるべきポジションにいた”からこそ優勝を成し遂げられたのだ。
■ハイライト動画&リザルト
ヤリ-マティ・ラトバラ(優勝)のコメント
「新しいチーム、そして新しいマシンで臨んだWRC 2戦目で優勝する事ができて、本当に嬉しく思います。今日の最後のパワーステージでの走りは、私の今までのキャリアの中でベストなパワーステージだったと思えるほどうまくいきました」
WRC第2戦 ラリー・スウェーデン RESULT
順位 | ドライバー | チーム | タイム(差) |
1位 | J.ラトバラ | トヨタ | 2時間36分3秒6 |
2位 | O.タナック | Mスポーツ | +29秒2 |
3位 | S.オジェ | Mスポーツ | +59秒5 |
4位 | D.ソルド | ヒュンダイ | +2分11秒5 |
5位 | C.ブリーン | シトロエン | +2分51秒2 |
12位 | C.ミーク | シトロエン | +10分28秒7 |
13位 | T.ヌービル | ヒュンダイ | +11分31秒5 |