日本導入はどうなる? 2025年新型PCX125と新型NMAX125の装備やスペックを徹底比較

日本導入はどうなる? 2025年新型PCX125と新型NMAX125の装備やスペックを徹底比較

 EICMA2024にて、ホンダの新型PCX125と、ヤマハのNMAX125が欧州向けに導入されることが発表された。ヨーロッパにおいてはA1免許に対応する125ccモデルの需要が高いが、日本にはPCX160とNMAX155/TURBOが同時に導入されることになるだろう。今回は欧州仕様の125ccをベースに、この2車を比較してみよう。

 
文/後藤秀之
 

ライバル関係にあるPCXとNMAX

 ホンダの初代PCXが発表されたのはマジェスティを中心に巻き起こったビッグスクーターブームが落ち着きを見せた、2009年の東京モーターショーであった。それまでに大きく豪華で高価になりすぎたビッグスクーターに対して、必要にして十分な大きさや装備、そして適切な価格が設定されたPCXはビジネスユーザーから若者まで幅広い層に受け入れられた。日本では高速道路も走行できるPCX150と小型免許で乗れるPCXの二本立てで展開され、インドネシアなどではPCX150が、ヨーロッパではPCX125がそれぞれ展開された。

 ヤマハはXMAX125を海外向けにリリースしていたが、これはヨーロッパの免許制度に対応させるために125ccのエンジンをXMAXの車体に搭載したモデルであった。PCXの直接的なライバルとなるNMAXは、ヤマハはヨーロッパなどで高い人気を保つ大型スクーターTMAXを頂点とする、MAXシリーズの末弟として2015年にインドネシア仕様の155ccモデルが発表され、2016年から日本とヨーロッパ市場向けに125ccモデルが追加で発表されている。このNMAX発表時にはライバルとなるPCXは第二世代へとモデルチェンジしており、ヤマハは新開発したブルーコアエンジンを搭載。NMAX125のエンジンは吸気側のカムを低速と中高速向けに切り替えるVVC(可変バルブシステム)を備え、エンジン始動用のモーターとジェネレーターを一体化したSMG(スマートモータージェネレーター)を搭載するなど積極的に先進機構が取り入れられていた。

 今回登場した2025年モデルで5代目となるPCXと、3代目となるNMAXはデザインがリニューアルされている。ただ、両車ともキープコンセプトと言えるものであり、好みの大きく分かれるポイントでもある。

 

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EICMA会場に飾られた新型PCX125DX。歴代PCXのデザインを受け継ぐ、シャープな新デザインが魅力的だ。

 

 

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ヨーロッパにおいてはA1免許対応の125ccとなるPCXだが、アジア向けに160ccエンジン搭載車が用意されるだろう。

 

 

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PCXの新しいデザインを象徴しているのが、「V」をモチーフにしたこのヘッドライトだろう。

 

 

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ヤマハMAXシリーズの末弟となるNMAX125は、既に155ccモデルがインドネシアに投入されていたモデルの125cc版だ。

 

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デュアルアイプロジェクターと名付けられた、縦にプロジェクターライトを並べたヘッドライト。LEDのDRLも装備する。

 

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NMAX125 TECH MAXは、通常のLCDメーターの下にTFTカラースクリーンか装備される。

 

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NMAX、PCX共にキーレスが標準装備されている。キーを持って近づくだけで、メインスイッチやシートなどにアクセスできる。

 

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NMAXはブルーコアエンジンを搭載し、VVC(可変バルブシステム)やSMG(スマートモータージェネレーター)などを搭載する。

 

 

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上級グレードとなるPCX125DXはリアにリザーバタンク別体型のショックを備え、メーターがTFTカラースクリーンとなる。

 

 

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NMAX125 TECH MAXは車体周りはスタンダードと共通で、TFTカラースクリーンや専用シートなどを備える。

 

 
 
 

熟成の域にあるエンジンと車体

 まずは欧州仕様の2車のエンジンから比較してみよう。まず大前提として、両車のエンジンは、ユーロ5+排出ガス規制に対応している。エンジンの基本形式は水冷4ストロークSOHC4バルブ単気筒125ccで全く同じと言える。ボア×ストロークはPCXが53.5×55.5mm、NMAXが52.0×58.7mmとPCXの方がショートストロークな設定だ。最高出力はPCXが9.2kW(12.5PS)/8750rpm、NMAXが9.0kW(12.2PS)/8000rpmとPCXの方が若干ではあるが高回転で高い出力を発生している。最大トルクをみるとPCXが11.7N・m(1.2kgm)/6500rpm、NMAXが11.2N・m(1.1kgm)/6000rpmと0.5N・m低いがNMAXの方が500rpm低い回転数で最大トルクを発生している。両車ともトラクションコントロールを備えており、安全面においては互角と評価できるだろう。

 

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PCXのエンジンはユーロ5+準拠のO2センサーを備えて強化された、「スマートパワープラス」(eSP+) 4 バルブエンジンとなる。

 

 

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NMAXのエンジンはヤマハが誇るブルーコア技術をを投入して開発された経済的な125ccで、ユーロ5+排出ガス規制に対応。先述したように、VVCやSMGを備える

 

 次に車体周りを見ていこう。NMAXはスクーターの定番であるアンダーボーンタイプのフレームではなくバックボーンタイプを採用ており、PCXも3代目以降ダブルクレードルタイプに変更している。いずれも乗り降りのしやすさよりも走行性能を重視した選択と言え、スポーツスクーターという選択をしたチョイスであると言える。ホイールサイズはPCXがフロント14・リア13インチを採用しているのに対して、NMAXは前後13インチを採用している。元々PCXは前後14インチホイールであり、初代モデルはリアタイヤサイズが100/90-14であったが3代目で120/70-14へサイズアップし、さらに4代目で130/70-13へと変更された。対するNMAXは初代モデルから130/70-13サイズのリアタイヤを採用しており、PCXがこれに合わせてきた形になる。

 ブレーキは両車とも前後ディスクでABSを備えており、サスペンションは正立フロントフォーク+リアツインショックだが、PCX125DXのみリザーバータンク付きが与えられている。車重はPCXが133kg(DXは134kg)に対して、NMAXが132kgと1kg軽く、エンジンスペックなどと合わせて考えると、この2車は本当に互角のスペックを持っている言えるだろう。

 

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PCXのフロントホイールは14インチ。ブレーキはシングルディスクタイプで、もちろんABSを標準装備している。

 

 

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NMAXのフロントホイールは13インチ。ブレーキはABS付きのシングルディスクで、PCXと同様だ。

 

 

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PCX125DXにはリザーバータンク別体式のリアショックが装備され、ワンランク上の走行性能が期待できる。

 

 

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NMAXのリアショックは、グレードを問わずシンプルな一体型。ツインタイプで重量のあるバネ下をしっかりと支える。

 

TFTフルカラースクリーンに期待

 各種装備面を比較していこう。両車ともグレードは2種あり、PCXは「PCX125」と「PCX125DX」、NMAXは「NMAX125」と「NMAX125TECH MAX」となる。このグレードの大きな差は両車ともメーター周りである。PCX125DXは通常のメーター機能を備えた5インチのTFTフルカラースクリーンを備え、NMAX125TECH MAXはLCDタイプの通常のメーターの下に4.2インチのTFTフルカラースクリーンを備えている。どちらもスマートフォンと連動して様々な情報を表示することができるのだが、PCXがスマートフォン経由でしかナビゲーションシステムを使えないのに対して、NMAXはヨーロッパにおいてはGarminナビゲーション3を無料で使用できるようになっている。画面の大きさはPCXの方が大きいが、通常の情報を表示するメーターを別に持つNMAXの方が視認性が高く、ナビゲーションが使用できることを考えるとここはNMAXに軍配が上がることになるだろう。ただ、このナビゲーションが日本仕様で使えるかどうかはまだ未定だ。また、NMAXは標準車でもスマートフォンとの連携機能を持つが、PCXはDXのTFTフルカラースクリーンしかスマートフォンと連携はできない。

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PCX125DXに装備されるTFTカラースクリーンメーター。スマートフォンと連携させることで、電話やメールの受信を知らせたり、ナビゲーションを使用することができる。

 

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スタンダードのPCX125のメーターはLCDタイプ。走行に必要な情報を、分かりやすく表示する。

 

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NMAX125 TECH MAXはLCDタイプのメーターの下に、TFTカラースクリーンが追加され、四輪車のようにナビゲーションシステムをフルに表示できる。

 

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NMAX125はLCDメーターのみとなるが、スマートフォンとの連携機能が標準装備されている。

 

 

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ホンダ、ヤマハ共にコネクテッド機能は強化されつつある。特に若い層の需要は高く、大型から小型までニューモデルには次々に装備されている。

 

 シート下のラゲッジスペースはPCXが30.4L、NMAXが25LでPCXの方が大きく、オプションにスマートキー連動タイプのトップケースが用意されるなど積載についてはPCXの方が一歩先を行っている。スマートフォンなどの充電に使用できるUSBソケットは両車ともUSB-Cタイプを1口備え、スマートキーも両車とも標準装備だ。

 

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