KONDOレーシング GT300を戦う56号車にとってランキング首位で迎えた最終戦もてぎ。今回は週末に2回の予選・決勝があるが、天王山となったこのラウンドはまさかまさかの大逆転劇となった。いつもと違う展開に、近藤監督も少し厳しい表情? 現地よりレポート!
文:ベストカーWeb編集長 塩川雅人/写真:SPJ-JS、塩川雅人
【画像ギャラリー】近藤監督の雄叫びが聞けた!! 56号車執念の王者を見よ(9枚)画像ギャラリー「らしくない」週末のスタート
「もうダメなのかもしれない」。そう思ったのは私だけではないだろう。ふたつの決勝が設定されている今季のスーパーGT最終戦。サーキットはいつもどおりモビリティリゾートもてぎだが、このサーキットはとにかくオーバーテイクショーが起こりにくい。
最初の決勝となった11月7日(土)。KONDOレーシングの56号車リアライズ日産メカニックチャレンジGT-Rは予選17番手。シーズン終盤になりサクセスウェイトも重くなり、性能調整もバッチリ効いている状況。近藤真彦監督も「とにかく決勝のロングペースで勝負するしかない」とコメント。
今シーズンを振り返ると「振り返れば56号車がいる」と語るレース関係者がいるほど、予選順位はまったくアテにならない状況。
まさに近藤監督のコメントどおり、レースになれば56号車のアベレージスピードは高く、淡々と走り続けるドライバーの冷静さと、メカニックのミスのない凄技がそれを実現している。
しかしこの日は違った。木村偉織選手がピットレーンのスピード違反、さらにオリベイラ選手は2度の他車との接触で都合3回のペナルティを受ける結果。シーズン終盤でこのミスは厳しいものがあった。シーンと静まり返ったピットの空気感は非常に重々しく、肩に鉛の錘を乗せられたかのようだった。
「さすがに諦めも入っちゃったけど」
日曜日の予選。最終戦はウェイトハンディもなくなり、性能調整を除けばまさにガチンコ勝負。56号車はやはり予選ペースは厳しく17位。しかも王座争いをしている96号車が予選3位という非常に厳しい展開となってしまった。
レーススタート直後に前方を走るライバルに仕掛ける木村選手。しかしなかなか抜きどころが見当たらない。タイヤ無交換作戦を前提としたペースをキープしているのは見てとれたが、この予選順位では王座はみるみる遠ざかっていく。近藤監督も「さすがに途中で諦めも入っちゃいましたけど」と振り返り語るほどの状況。
そこにきてライバル96号車のペースが上がらず7位まで順位を下げる。ここから56号車の怒涛のポジションアップが始まる。木村選手が14位まで順位をあげてピットイン。
オリベイラ選手がバトンを受け取り、ここでタイヤ無交換作戦敢行! ピットレーンで96号車を逆転する。こうなればいつもの「オリベイラ劇場」が開幕だ。
あれよあれよで順位を上げ、一時は逆転された他のライバル候補とのポイント差をすぐに奪取。タイヤのライフもギリギリまで使った走りはベテランの妙技だ。他車の順位変動も王座に関連する展開で、薄氷を踏むような綱渡り状態を制し、劇的な王座確定でフィニッシュを迎えた。
タイヤ無交換作戦を視野に入れてドライバー交代の練習を土曜日にずっとしていたり、やれることを全部こなして望んだKONDOレーシング。
よくある言葉になるが「最後までなにが起こるかわからない」。そして最後まで戦い抜いた者にだけ勝利は訪れる。日産メカニックチャレンジで学んだ日産自動車大学校の学生、そして日産販売会社のメカニックにとっても、この貴重な経験はシーズンを通じて代え難い人生の収穫になったと思う。
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